日本高次脳機能障害友の会メール通信(2024年度第4号)
日本高次脳機能障害友会から
メール通信2024年度第4号が届いたので転載します。
今回は長いです💦
添付資料がほしい場合は稲毛までご連絡ください。
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全国のみなさま
◇理事だより
日本高次脳機能障害友の会全国大会第20回全国大会in福島が10月4日~5日に開催され、たくさんの皆さんが参加くださいました。福島の家族会うつくしまの方々、支援機関の方々、ボランティアでかかわってくださった方々に心よりお礼申し上げます。(詳細は片岡理事長の報告をご覧ください)
さて、新聞報道でも話題になりましたが、この4月に障害福祉サービスの報酬改定があり、今回「高次脳機能障害者支援体制加算」が新設されました。高次脳機能障害がある人への専門的な支援を評価する加算です。高次脳機能障害がある利用者が全体の利用者数の30%以上で、都道府県が実施する高次脳機能障害支援者養成研修を修了した従業者を配置・届出している場合に加算が認められます。
対象となるサービスは、生活介護、施設入所支援、共同生活援助、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労選択支援(2025年10月開始)です。また、計画相談支援にも同様に研修を受けた従業者を配置すると「高次脳機能障害者支援体制加算」が認められることになりました。
障害福祉サービスの加算に「高次脳機能障害の支援」が明記されたのは、今回が初めてです。加算の要件にある専門的な研修は、国立障害者リハビリテーションセンターが2020年~2022年に実施した研究「高次脳機能障害の特性に応じた支援者養成研修カリキュラム及びテキストの為の研究」で作成された研修パッケージもしくは同等のものとされています。基礎編、実践編、演習プログラムも含めてかなりのボリュームの研修です。都道府県が実施しますが、この報酬改定が発表されたのが2024年3月だったため、今年度すぐ予算化して実施できる都道府県は少数とのこと。脳損傷友の会コロポックルが所在する北海道は来年度から上記の専門的な研修を実施する予定です。この研修について多数の事業者から北海道にも問い合わせが寄せられているとお聞きしています。
家族会が運営にかかわる事業所も全国に多数ありますが、皆さんの県の研修の進捗はいかがでしょうか。家族会とは別組織ですが、NPO法人コロポックルさっぽろが障害福祉サービス事業を行っていますので、新設された「高次脳機能障害者支援体制加算」を受給し運営基盤を強化していけたらと思います。この報酬改定で、たくさんの支援者が高次脳機能障害者の専門的な研修を受講し、高次脳機能障害の理解が進むのではと期待しています。
一方今回の報酬改定で、全国300か所を超す「就労継続支援A型事業所」が閉鎖され、働いていた障害者約5000人が解雇や退職となったことが報じられました。経営状況の評価が厳しくなり、収益が出せていないA型事業所が閉鎖やB型への移行となった可能性があるとのことでした。影響があった当事者の方もいらっしゃったのではないでしょうか。重度の方が通所する生活介護事業所も、短時間の通所の方が低く評価され、事業運営が厳しくなっているとの記事がありました。
高次脳機能障害者はその障害特性から長時間働くのが難しかったり、長い時間の通所がかなわない方もいます。3年ごとに報酬改定がありますので、良心的に運営されている事業所が閉鎖に追い込まれることがないように、注視していかなければと感じました。
(脳損傷友の会コロポックル 副代表 内田 由貴子)
◇報告
○脳外傷友の会さいたま 会長 三上紀男さんを悼む
2024年8月27日、三上紀男さん(現脳外傷友の会さいたま会長)が84才で逝去されました。さいたまの家族会を立ち上げ、会の活動に熱心に取り組まれ、日本高次脳機能障害友の会でも理事の一人として尽力された方です。娘さんの交通事故による高次脳機能障害をきっかけに、神奈川のナナの会と出会い、地元の家族会の必要を覚えてのことでした。
私との出会いは、日本高次脳機能障害友の会の研修で所沢の国立障害者リハビリテーションセンター見学の折でした。先頭に立って説明したり案内している方が、札幌の小学校同級の紀男ちゃんにそっくりなことに気づいたのです。声をかけたところ、彼は数分間声をなくしていました。小学校卒業以来50年近くの空白を経ての再会でした。高次脳機能障害のとりもった不思議な縁でした。
亡くなる二年前、娘さんと一緒に札幌まで私に会いに来てくださいました。また会おうと約束したのに、残念なお別れになってしまいました。でも、もうすぐまた会える。待っててね。
娘さんが高次脳になって大変だったこと、その娘さんの子ども二人を育てたこと、奥さんの闘病生活を支えたこと、全てを忘れて安らかにお眠りください。合掌。
(脳損傷友の会コロポックル 篠原 節)
◇お知らせ
○みらくるTVで高次脳機能障害支援法がテーマに
2024年11月10日(日)14:30~16:00
テーマ:「なぜ高次脳機能障害者支援法が必要か」
出演:片岡 保憲氏 日本高次脳機能障害友の会理事長
https://us02web.zoom.us/j/3782787584 *パスコード「39」
*どなたでも入室できます。
*みらクルTV 公式サイトhttps://miracletv.site/
○高次脳機能障害リハビリテーション講習会(札幌)参加無料 添付①
2024年10月19日(土)13:00~16:00 北海道大学学術交流会館講堂
テーマ:スタッフとメンバーが一緒に考える高次脳グループリハビリテーション
~生活期こそ強みを生かして希望を育む~
1部 講演:なやクリニック(大阪府堺市)における取組
講師:作業療法士 江尻 知穂氏
言語聴覚士 蜂谷 敦子氏
2部 Q&Aコーナー
○帯広脳外傷リハビリテーション講習会 参加無料 添付②
2024年10月26日(土)13:30~16:30 とかちプラザ4階講習室402
テーマ:脳損傷友の会コロポックル(札幌)の活動から学ぶ
講演①会員のよりどころとしての友の会を支えて
講師:脳損傷友の会コロポックル副代表 内田 由貴子氏
講演②妻の会「ポロミナ」の活動にまなぶ
講師:脳損傷友の会コロポックル副代表 薮中 弘美氏
○奈良高次脳機能障害リハビリテーション講習会 参加無料 添付③
2024年10月27日(日)13:00~16:30 学園前ホール
1.体験発表:「事故からの25年を振り返って」
講師:河田幹子さんと河田順一さん
NPO法人高次脳機能障害友の会みずほ副理事長
2.ワークショップ:音楽療法「Let‛s MUSISING」
音楽療法士:渡邊静穂さん・清岡愛さん
3.講演:「高次脳機能障害 その概念から、患者さんの就労支援まで」
講師:上田圭太 先生 京都大学大学院医学研究科 精神医学 講師
京都光華女子大学 教授
○滋賀県高次脳機能障害リハビリテーション講習会 参加無料 添付④
2024年11月4日(月)13:00~16:00 北ビワコホテルグラツィエ
* オンライン(ZOOM)同時開催
テーマ:明日のくらしをよくしていこう~地域での自立・自律に向けた生活を考える~
第1部 13:15~14:45 「地域で安心して暮らす」
~親亡き後の住宅問題・後見制度を中心に
講師:一般社団法人全国手をつなぐ育成会常務理事兼事務局長
又村 あおい氏
第2部 14:55~15:55 シンポジウム「よくなる地域生活」
シンポジスト
池田 章人氏(ステップアップ21)~相談の現場から
飯田 尚樹氏(滋賀県立むれやま荘)~支援施設の現場から
岡本 憲明氏(一般社団法人なないろ)~生活施設・支援の現場から
司会進行 川上 寿一氏(医師 滋賀県立リハビリテーションセンター所長)
コメンテーター 又村 あおい氏
○函館脳外傷リハビリテーション講習会 参加無料 添付⑤
2024年11月16日(土)13:30~16:00 花びしホテル
「高次脳機能障害のリハビリテーションには何が必要か
~地域支援・家族本人への支援を長い目で見て~」
講師:こころのリカバリー総合支援センター所長・精神科医 阿部 幸弘氏
「高次脳機能障害=生かされた命のその後=結婚に至る道」
講師:当事者家族・メンタル心理士 新谷 美佳子氏
○静岡高次脳機能障害リハビリテーション講習会 参加無料 添付⑥
2024年11月23日(土・祝)13:30~16:30 CSA貸会議室
講演1「静岡県の高次脳機能障害者支援 現状と課題」
講師:片桐 伯真氏(聖隷三方原病院リハビリテーション科
・静岡高次脳機能障害リハビリテーション講習会実行委員長)
講演2「当事者からのメッセージ~社会との接点を求めて~」
講師:北島 麻衣子氏(かけはしプロジェクト代表)
○あいち高次脳機能障害リハビリテーション講習会 参加無料 添付⑦
2024年11月30日(土)13:00~16:00 中区役所ホール
第一部 基調講演「高次脳機能障害のある人の就労支援~これまで・いま・これから~」
講師:稲葉 健太郎氏
社会福祉法人名古屋市相当リハビリテーション事業団自立支援部長
第二部 座談会「働く当事者体験談」当事者、支援者など
○交通事故後遺障害者家族の会 第4回秋の勉強会 参加無料 添付⑧
2024年10月27日(日)12:30~16:30 JA共済カンファレンスホール
講演①12:40~13:10 講師:交通事故後遺障害者家族の会 代表理事 北原 浩一氏
経験から学んだ裁判の勝ち抜き方~当時日本一損害賠償を最高裁が認めた経験から~
講演②13:15~14:15 講師:株式会社ドライビングアカデミー 代表取締役 菰田 潔氏
「クルマは事故を覚えている!」~交通事故の争い現在と未来~
講演③14:35~15:35 講師MI・HO・KO氏
「事故から始まるAnother Life やっとつかんだMy Life」
○パパママ交流会in東京 定員25名程度 参加費1000円*現金のみ 添付⑨
2024年11月3日(日)10:00~11:30 タワーホール船堀 和室1
主催:かけはしプロジェクト
対象:1高次脳機能障害や失語を持ちながら子育て中の方や子育てがひと段落された方
2高次脳機能障害と子育てに関心のある方。または地域でぴあサークル活動を
されている方(子のいない当事者、支援職、自治体職員など)
◇家族会紹介「一般社団法人ぷらむ佐賀」
1983年の夜、夫が交通事故に遭いました。とにかく命だけはと願っていた私は、無事に退院できた時は本当に嬉しくて、これでまた元の生活ができると安堵したものです。ところが、退院後の夫は人格が激変していました。今でこそ高次脳機能障害だと言えますが、当時はそんな障害の名前すら知りません。喜びは一転し、何がどうなっているのか、どうしてよいのか、そもそも元の夫に戻るのかすらも分からずに、不安と絶望の生活が始まりました。
2000年5月。福岡で高次脳機能障害の家族会が発足との新聞記事を目にし、載っていた障害の説明を見て驚きました。17年を経て、漸く夫が「高次脳機能障害」なのだと分かったのです。そこで福岡の家族会へ参加したところ、自分と同じような立場の方がいて、共通の悩みがあり、話を聞いて共感してもらえるという安心感に、夫の事故以来久方ぶりに肩の力が抜けたことを覚えています。佐賀の当事者家族とも出会えました。当時の佐賀県には当障害の情報も、相談窓口もありません。そのため家族会だけでなく、勉強会などへの参加も含めると頻繁に福岡まで出向くことになります。仕事や家事との両立や当事者を連れての移動が次第に負担となるにつれ、もっと身近に相談の場があればとの思いが強まりました。
そこで2006年、障害者自立支援法施行を機に、私たちは地域で孤立しがちな当事者やご家族の拠り所となり、また気軽に相談できる窓口を佐賀県内に作る活動を開始、翌2007年には14家族と少ないながらも家族会「高次脳機能障害『ぷらむ』佐賀」を設立しました。何も分からない素人集団でしたが、「知ってほしい」の想いだけで手作りのチラシを手に行政や医療機関を回りました。他にも遠方へ出向いての相談会・勉強会の開催、依頼講演では主に当障害への理解と当事者・家族支援の必要性を訴えました。幸い、各方面でご支援下さる方々との出会いやたくさんの温かいお言葉もあり、今では会員数は42家族となりました。当初から定期的に開催している家族交流会も、当事者も参加できるゲーム大会や、会員同士で問題を議論したり愚痴を吐き出すなど、楽しいひと時が過ごせるとご好評いただいております。
さて、草の根活動を積み重ねた結果、2015年に佐賀県からの委託事業を受けて家族会は「一般社団法人ぷらむ佐賀」となり、念願の”県内の相談窓口”として「佐賀県高次脳機能障害者相談支援センターぷらむ」を開設しました。現在、年平均で850件前後の相談を受けるとともに、研修会等の啓発活動にも引き続き積極的に取り組んでいます。
この障害の前には地方特有の問題や課題も多く、また近年では親の高齢化等の困難事例の増加など、未だ手探りの状態は続いています。それでも皆様の心強いご協力のもと、当事者及びその家族の今後のより良い人生のため、これからも支えになれたらと思っております。
(一般社団法人ぷらむ佐賀 理事長 犬丸理枝子)
■日本高次脳機能障害友の会メール通信の編集は、理事 内田由貴子(脳損傷友の会コロポックル副代表)が担当しています。高次脳機能障害のニュース、各地の家族会の活動、情報などをお寄せください。(E-mail:koropokkuru@mail.goo.ne.jp)
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NPO法人 日本高次脳機能障害友の会
〒780-8014 高知県 高知市 塩屋崎町2丁目12-42
TEL:088-803-4100 FAX:088-803-4420
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添付① 高次脳機能障害リハビリテーション講習会(札幌).pdf添付⑤ 函館ハビリテーション講習会.pdf 添付⑦ あいち高次脳機能障害リハビリテーション講習会.pdf 添付⑧ 交通事故後遺障害者家族の会第46回秋の勉強会.pdf 添付⑨【改】11月3日パパママ交流会チラシ.pdf