2021年10月15日
全国大会の総括が来ました

NPO法人日本高次脳機能障害友の会から、先日の全国大会についての総括が送られてきたので転送します。
一番下になんぼーこーじ家族会石黒会長の追加メッセージも入っています。あとから本部に送ったものだそうです。



全国のみなさま
 
◇理事だより
 大会の開催に感謝
2021年オンライン全国大会が無事にしかも大成功裏に終了しました。
今回の開催には、ZOOM理事会の場で、コロポックルの内田理事から「コロナ禍とはいえ全国大会を2年間も開催しない訳にはいかない、事務局はコロポックルが担うのでオンラインで全国大会を開催しましょう!」という提案には正直度肝を抜かれました。
なぜなら私たちは全国大会を開催する事はどんなに大変かを知っているからです。かくして開催となったわけですがあの通り素晴らしい大会となりました。
 第一部のシンポジュウムを受講した当方のある職員が、友の会の顧問の先生方や講師の先生方が本気でこの障害について何とかしたいという思いや、難しい制度や課題は何なのか等をとても分かり易くご講演して下さり大変ありがたかった。また、このような方々が高次脳機能障害当事者や家族の思いに寄り添って下さるという事にもとても感激したし心強いですね。と興奮気味に伝えてくれました。正にその通りです。この関係に私達も感謝し大事にしていこうと思いました。
 また第二部での各地の活動内容のそれぞれに特徴がありすばらしいと思いました。やはりオンラインとは言え皆様のお顔が見られたことは嬉しかったですね。刺激にもなります。
そして、何より日本高次脳機能障害友の会の若きリーダーのご尊顔をやっと全国の皆さまにご披露できたことです。次はぜひリアルで全国の皆様とお会いしたいですね。
内田さん、コロポックルの皆様本当にありがとうございました。心から感謝申しあげます。
おつかれさまでした。                (副理事長 堀間 幸子)
 
〇第1部シンポジウム「高次脳機能障害支援法制定に向けて」について
          (顧問:神奈川県総合リハビリテーション事業団:瀧澤 学)
 
2021年10月2日(土)オンライン全国大会につきましては、5月から内田理事が中心となって準備を開始して、オンラインという形でしたが2年ぶりにようやく開催に漕ぎ着けることができました。今回のテーマは「高次脳機能障害支援法制定に向けて」ということで、冒頭ではコーディネーターより、法制化の意義や今後取り組むべきこと(法制化は予算も絡むことですから非常にハードルが高く、その意義を含めて当事者・家族・関係者・支援者等が一致団結して臨む必要がありますので、まず理解しておいていただきたい法制化に関する基礎的な情報)についてお伝えさせていただきました。
シンポジウムでは、1.深津先生からは高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業の変遷と全国の支援拠点機関や国立障害者リハビリテーションセンターが現在実施している取り組みについて、2.渡邉先生からは、脳損傷が及ぼす認知機能障害について医学的な視点からお話しいただくとともに、社会参加するために医療から地域での支援の連携や地域支援体制の構築、家族支援の重要性について、3.鈴木先生からは、支援拠点機関が各都道府県で実践していくべき事由や課題について、4.片岡理事長からは高次脳機能障害の多様性だけではなく、戻ったコミュニティによって顕在化する生活課題が異なることを考慮した上での重層的な支援体制づくりの必要性と、それを具現化するための法制化の意義、5.中村さんからは小児高次脳機能障害の本人の状態や状況だけではなく、親や兄弟姉妹をいかに支えていくか、体験や実践を交えたお話をいただきました。
質疑応答では、コーディネーターの山口先生、生方先生より、高次脳機能障害支援普及事業の制度面での現状(恒久的な事業ではないことの確認)、法制化に伴う診断評価機関の拡充、地域格差への対応(現在国立障害者リハビリテーションセンターにて研修等に関する研究が実施されており、将来的に全国に普及していく方策を模索・検討している)等、演者との意見交換がされました。また参加者からも、「重度高次脳機能障害がある方への生活支援の必要性」「障害が軽度で自立度や作業性が高い場合でも適切な支援や助言を要している現状」「働き盛り・子育て世代の夫が脳卒中になることでの妻への負担」といった意見をいただきました。
 今後は、高次脳機能障害支援法制定だけではなく、障害福祉分野で高次脳機能障害がある方への支援をいかに充実させていくか(国立リハビリテーションセンターが行っている研究を基盤としたインセンティブ(受講によって加算対象となる研修)の具現化等)、医療と福祉の連携強化(高次脳機能障害がある方の退院支援に際して、医療機関から地域へ情報提供や連携した支援を実施した場合の加算等)、介護保険2号被保険者とその家族への支援、等についても取り組んでいく必要があると思います。ミクロ(個別支援・地域支援)から見えてきた課題をメゾ(地域での支援体制づくり)に活かし、マクロ(政策や法制化)につなぐことが出来るように、当事者・家族・支援者・関係者等が協働した取り組みの必要性が必須であることを再認しました。
 
第2部「各地の家族会 活動紹介」について
               (理事:脳損傷友の会コロポックル:内田由貴子)

【4つの家族会の報告】
 昨年はコロナ感染拡大のため全国大会が開けませんでした。今回、コロナ禍のなかどんな活動をしたか、4家族会の活動を報告しました。コロナ禍のなかで2つの家族会は、アンケート調査を実施しました。
脳損傷友の会コロポックルは、会員に向けて「新型コロナウイルス感染症拡大による影響について」を実施し、当事者が濃厚接触者になった際の支援を北海道と札幌市に要望しました。
脳外傷友の会高志は、富山県高次脳機能障害支援センターと連携し、センターの利用者と家族会会員に向けて「就労・生活面でのコロナ禍の影響に関する調査」を実施し、当事者の孤独感、不安感や家族の負担感に着目し、調査結果に基づいた対策を検討しているとの報告がありました。
コロナ禍の中での家族会活動について2つの家族会が報告しました。
いわて高次脳機能障害友の会イーハトーヴは、毎月実施した「オンラインによるサロン・de・イーハトーヴ」について報告、オンラインで実施する際の注意点、具体的な方法などコロナ禍の中での家族会活動の工夫をお話しいただきました。
高次脳機能障害「ぷらむ」鹿児島は、鹿児島県作業療法士会を通して結びついた鹿児島医療技術専門学校とのつながりで定例の会が開かれてきたこと、コロナ禍で開催ができないなか、会報誌で近況を報告されていることなどの報告がありました。
 
【3か所の集団会場】
 「オンラインでの参加が難しい」「山岳地帯でWi-Fiが繋がりにくいので」と少しでも多くの会員が参加できるよう、集団会場での視聴の申し出がありました。8か所の集団会場が設置され、うち3か所(亀田リハビリテーション病院、かがわ脳外傷友の会ぼちぼち、和歌山ワークショップフラット)の会場の皆さんから、近況の報告をいただきました。
 「(集団会場で)久しぶりに集まれてよかった」「オンラインで懐かしい顔が拝見できた」と思わぬ副産物の知らせもありました。
 
〇第56回障害者政策委員会
令和3年9月13日に開催されました第56回障害者政策委員会にてヒアリングを受け、当会としての要望をお伝えいたしました。
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/index.html
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_56/pdf/s3.pdf 
 
◇お知らせ
〇高次脳機能障害リハビリテーション講習会(札幌) 
日時:2021年10月17日(日)13:00~15:00 *オンラインでの開催
講 師:山口加代子氏 鈴木大介氏
テーマ:「“新解釈”不自由な脳の解き明かし」~当事者の視点から伝えたいこと~
 
◇家族会紹介
その1.
東葛菜の花「高次脳機能障害者と家族の会」(千葉県)大寺龍彦さんより寄稿いただきました。
現在コロナ感染症拡大のため、会の活動は休止されていますが、感染が落ち着いたら再開したいとのことです。
 
今コロナ禍をとおして感じたこと
コロナ対策では、自粛ばかり。政策として自助を勧めるのは、無策といえるのではないでしょうか。コロナの影響は、大きく職種や雇用形態、貯蓄の有無、助け合うコミュニティーがあるかどうかで異なり、社会的な格差がより浮き彫りになっています。また、不安な毎日が続くことから、何気ない毎日の大切さに気付いた人も多かったのではないでしょうか。コロナ感染拡大で世界が一気に変わり、新しいやり方、インターネットを扱えない現実に、更に孤独を感じている人もいらっしゃるかもしれません。
 
感染対策が何より大切です。現実問題として、医療崩壊が起きた時、障害のある方はどうしたらよいかと思われた方も多いと思います。細かいことが気になり、緊張した日々を過ごすのは、心の休まることが難しかったかもしれません。逆に、周りの環境に無頓着だったことを気が付いた方も多いことでしょう。やってもらうのが当たり前で、感謝の気持ちが薄かった後悔している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
「不要不急」は日常生活の中に取り入れてください、との大号令で、自粛の毎日です。ワクチンの接種率も高齢者ほど、若年層は伸びていないのが現状です。感染するのは、「自己責任」と言われている気がします。また、本当につらい人は、弱音すらはけないかもしれません。確かな情報と安心を切望しています。家族・仲間の絆は、実在しないドラえもんの秘密道具に頼るようなものではないのでしょうか。逆に、皮肉にもパンデミックで生活のあちらこちらで選択肢が増えてきました。限られた資源だと優先順位をつけたがります。でも、こぼれる人を仕方ないと切り捨てていくと、相手を守れないだけではなく、自分の生活の術にも繋がってきません。そして、生活の便利さも生まれてきません。
 
80代以上の方々は「戦争中や戦後は我慢が当たり前だった」とよくおっしゃってますが、もしかしたら今の状態がそうで、我慢が当たり前になるかもしれません。様々の時代を乗り越えてきた高齢者の方に知恵を伺いたくもなりました。
 
パンデミックの今こそ、どんな生活を送りたいのか、どんなサポートがある社会に住みたいのか考えてみませんか。情報を集め、人と話すことでアイディアが生まれ、周りを変えていけるかも。夢や希望を語りながら、この窮地を乗り越え理想な社会を目指して、声を上げていかなければと思っています。
 
コロナ禍をとおして、伝えることは大変だと痛感しました。でも、伝えることを諦めたくないのです。辛さを同じように感じている誰かがいると思うのです。声を上げるのは大変だけど、人と繋がって、安心を増やしたいです。自分のその時の気分や状況、相手によって、感じ方が違うことはよくあります。だから、助けられなくても、自分を責めることなく、次も救いの手を差し伸べてください。助け合いは、人と人を繋げます。助けを求めることも、助けてあげることも、人と人を繋げるチャンスなのです。コロナ禍で人との距離を取りがちですが、困ったときには、困っている人を見かけたら、どんどん声を出し、助け合いながら暮らしていきたいものです。
 
インターネットは、障害者の生活を可視化し理解を求め、人と繋がるための大切な手段の一つです。しかし、インターネットが扱えない「情報弱者」が多くいることを忘れてはなりません。一方、マイノリティーに合わせると、マジョリティーが迷惑するといった感覚のほか、マイノリティーが声を上げ方やその方への価値の仕方は控えめでなければいけない、という考え方が多くの方の根底にあると思います。
 
誰かと比べあうものではなく、ありのままのその人を受け入れ、それを励ます言葉をかけたいです。見た目で人を評価するのは差別です。自分の理想像を描き、それに近づくための努力をすることは大切です。でも、ありのままの自分を受け入れるほうが、もっと大切です。
 
日ごろ上手くいかなかったり、周りから批判や反対されたりするとき、「自分の頑張りが足りないから」「自分が我慢すればいいんだ」と感じてしまう時ってありませんか。でも、それは周りが貴方そのものを見ているのではなく、勝手に作り上げた虚像であったりしていませんか。得意なことを生かしながら暮らしていると、きっと予測ができない幸運がめぐり合わせてくれそうな気がします。
 
自分を大切にして、自分らしく生きていけるように考え方も変えていきませんか。無知がゆえに傷ついて、傷つけたりしていませんか。学んで、誤りを見つけ、アップデートしてグレードアップしていくことが大切です。新しい時代がもうすぐそこまで来ています。
(東葛菜の花「高次脳機能障害者と家族の会」代表 大寺 龍彦)
 
その2.
亀田リハビリテーション病院集団会場で参加くださった、南房総高次脳機能障害家族と支援者の会(千葉県)石黒裕美さんから、「あがってしまってうまく伝えられなかったので、会の活動について知らせたい」とご寄稿いただきました。
 
2021年オンライン全国大会で伝えたかったこと、言い忘れたことを追加させていただきます。
1. 家族会の活動場所です。(2010年千葉県の国勢調査のファイル)の千葉県マスコットキャラクター「チーバくん」の足のあたりです。現在の会員さんは富津市、鋸南町、館山市、南房総市、鴨川市、いすみ市に住んでいます。2019年台風15号では大変な被害を受けました。今も完全には復旧していません。昨日の台風16号ではいすみ市の川が氾濫しました。
2. 会員は当事者4名、家族4名、支援者2名、支援団体3団体です。支援団体は千葉県の地域支援拠点機関「亀田リハビリテーション病院」(鴨川市)、千葉県中核地域支援センター「ひだまり」(南房総市)、障害者就業・生活支援センター「中里」(館山市)です。
3. 広報活動のことです。この地域は観光地なのでイベントが色々あります。去年、今年とコロナでイベントはありませんが、イベントで家族会のチラシを配っています。このチラシは優秀(自画自賛)でユーモラスなキャラクターが、高次脳機能障害を分かりやすく説明しています。とてもよくできていると思います。ホームページのアドレスも載っています。ホームページは、毎月更新しています。担当者の苦労に脱帽です。
4. 最後に午前中のシンポジウム「高次脳機能障害支援法」についてです。支援法制定の必要性をまた感じました。以前にこの支援法の話が伝わった時、これはすごい、高次脳機能障害を多くの人に知ってもらえる。宣伝活動になると思いました。大変なことだとは思いますが、弱小家族会もできることは応援したいです。全国の家族会の活動には目を見張るものがあり、いつも励みになっています。ありがとうございました。
         (南房総高次脳機能障害 家族と支援者の会 代表 石黒 裕美)
 
 資料2 南房総高次脳機能障害家族と支援者の会

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