2021年12月17日
日本高次脳機能障害友の会より

NPO法人日本高次脳機能障害友の会から「32021年度メール通信No.5」が届きましたので転載します。



全国のみなさま
 
◇理事だより
 皆様、お久しぶりです。コロナ禍の中、皆様はどのようにお過ごしでしょうか。2020日本高次脳機能障害友の会IN福島大会を目の前にして2年も延期となり、友の会の20周年大会が2022年に開催できることを願っております。
福島県も東日本震災と原発事故の2重の災害を乗り越え、復興も道半ばではありますが全国の皆様に支えられ普通の生活を取り戻してはおりますが、農水産物等には放射能の問題は未だにご理解されない事が多いようです。高次脳機能障害も同様にご理解して頂けない状況があるように思いますが、福島大会が全国の当事者家族会が一丸となり、国へのアピールを訴えることが出来る大会となるよう願っております。
今や第4の障害と言われるような高次脳機能障害ですが、幼児から高齢者まで、そして個々の症状や性格などが混在して難しいことばかりです。高次脳機能障害支援法の話が出て10年位になろうかと思います。コロナ禍の状況下の中でも、片岡理事長はじめ顧問の先生や支援頂いている代議士などに支えられているのを痛感している次第です。
この法案が成立すれば行政、病院、障害者施設、介護施設など医療や福祉の現場に、高次脳機能障害の対応に詳しい支援が行き渡り、様々な環境が整い、社会復帰や復学等に社会資源が有効に活用され、それぞれの家族が地域で暮らしやすくなると思っております。
 
現在、福島の家族会は6圏域に拠点機関が配置され、県の方並びに各拠点のコーディネーター(ソーシャルワーカー)さん方にご支援と指導をして頂いております。しかしながら、この状況下では病院側からはサロンの開催はしばらくの間延期の状況が続いており、ここにさらなるオミクロン株が出てきましたので心配は尽きません。
 皆様も感染症にご注意され2022年9月30日(金)・10月1日(土)の全国大会を是非、成功させ、いい年を迎え頂けますようお祈り申し上げます。
ふくしまへ是非来てください。お願い致します。
(NPO高次脳機能障害友の会うつくしま・理事長 遠藤 良一)
 
 
◇報告
〇本来であれば、忘年会多き師走の季節ですが、新型コロナウイルス感染症の影響により、忘年会を控えている方が多いと思います。皆様、とくにお変わりなくお過ごしでしょうか。
さて、令和3年11月18日に日本高次脳機能障害友の会WEB理事会にて、話し合いが行われたいくつかの内容についてご報告させていただきます。
 
○映画「いのち見つめて」
片岡も出演させていただきました、「いのち見つめて」という映画が完成し、各地で上映会が始まりました。福岡県大牟田の「三池炭じん爆発事故」でいまだに苦しむ人にスポットを当てたドキュメンタリー映画です。その映画の中で「高次脳機能障害」が取り上げられています。
(https://inochikoujinou.wixsite.com/inochi?fbclid=IwAR075a_ai3xfSKPvKun7DeyCGVuHTcCY0Vyv25tUFbV1UvXFBYzhB6RsUx8)
 
○NASVAの取り組み
現在、NASVAの取り組みとして、「自動車運転に関する適性診断の体験」や、「自分でつくる安心防災帳」などがあります。
(http://www.rehab.go.jp/ri/kaihatsu/suzurikawa/skit_02.html)
そのワークショップや意見交換会が1月13日に三重で開催されるとのことで、古謝前理事長とともに片岡も参加させて頂く予定となっております。
 
○次年度の全国大会in福島について
次年度の全国大会in福島の日程は令和4年9月30日・10月1日を予定しており、会場を仮押さえしている状況です。新型コロナウイルス感染症が終息したとは言い切れない状況ですが、来年はなんとか通常開催ができないか話し合いを重ねております。プログラムをどうするか、交流会や関連研修会の開催の仕方などなど、現地で動いてくださっている遠藤理事と相談をしながら進めてまいります。(理事長 片岡保憲)
                                     
〇高次脳機能障害学会
令和3年12月9-10日、福島県郡山市のビックパレットふくしまにて、第45回高次脳機能障害学会学術総会が開催されました。昨年に引き続きコロナ禍での開催となりましたが、本年度は会場とオンラインのハイブリッド開催となりました。実際に会場で参加された方は例年の2-3割といった感じでしたが、内容自体はワークショップ、セミナー、シンポジウム等が各会場で開催され、充実した内容でした。(神奈川県総合リハビリテーションセンター 瀧澤 学)
https://site2.convention.co.jp/45jshbd/
 
 
◇お知らせ
〇令和3年度第2回高次脳機能障害支援普及全国連絡会議【オンライン開催】
主催 国立障害者リハビリテーションセンター
日時 令和4年2月25日(金)10:00~12:00
開催方法 Web会議方式
※全国連絡協議会委員以外のオブザーバー(傍聴のみ)参加も可能です。
〈要申込み〉高次脳機能障害に関するイベント情報 (rehab.go.jp) に案内が掲示されますのでご参照ください。
 
〇令和3年度第2回支援コーディネーター全国会議
主催 国立障害者リハビリテーションセンター
日時 令和4年2月25日(金)13:00~15:30
開催方法 Web会議方式
※都道府県の高次脳機能障害支援拠点機関のコーディネーター対象
コーディネーター以外のオブザーバー(傍聴のみ)参加も可能です。
高次脳機能障害に関するイベント情報 (rehab.go.jp) に案内が掲示されますのでご参照ください。
 
 
【映画の感想を寄せていただきました】
長編ドキュメンタリー映画
「いのち見つめて~高次脳機能障害と現代社会~」の完成披露上映会に参加して

                       福岡市立心身障がい福祉センター
                       支援コーディネーター 和田明美
 
1963年11月9日、福岡県大牟田市の三池三川抗で、戦後最大の爆発大災害が起こりました。死者458名、一酸化炭素中毒者839名。一酸化炭素中毒者の多くが高次脳機能障害の後遺症に苦しめられました。それから58年目の2021年11月9日に「いのち見つめて~高次脳機能障害と現代社会~」の全国初の上映会が大牟田市で開催されました。
 コロナ禍の平日夜でしたが、200名以上の方が参加され、そのほとんどが地元の人のようでした。私は、この映画を見た支援コーディネーター第1号ではないかと思います。
映画は、音楽も担当した岡本美沙さんが、高次脳機能障害や関係者、大牟田市を訪問してお話しを聞く中に、炭鉱事故にまつわるエピソードが紹介されるというものでした。当事者ご家族として、福知山脱線事故にあった鈴木さん親子、脳の病気から二人三脚で過ごしてこられた白井さんご夫妻、元競馬ジョッキーの常石さん、日々コージ中の柴本さんご夫妻などが出演され、ご家族会からも元サークルエコー代表の田辺さん、現日本高次脳機能障害友の会理事長の片岡さんなどがお話をしてくださいました。山口クリニックの山口研一郎先生をはじめ、数人の支援者や支援機関も登場しています。皆さん、高次脳機能障害の大変さ、難しさを語られながら、今後に向けたメッセージを伝えてくださいました。
大牟田の事故当初、日本では「一酸化炭素中毒の後遺症は稀」と言われており、多くの方が詐病と言われたそうです。当事者ご家族を苦しめるのは、後遺症とともに周りの無理解だということは、インタビューに答えられた多くの方が語っていらっしゃいました。
1964年に一酸化炭素中毒後遺症の方の治療目的に設置された大牟田労災病院のリハビリの映像もありました。現在高次脳機能障害の方に行われているような運動、作業、グループ訓練などが30年以上前にされていたのは驚きです。大牟田労災病院廃止時に、「一酸化炭素中毒の方の最後の1人まで国が責任を持つ」よう厚労省と交渉を重ねられたというエピソードも印象的でした。この時から三池高次脳機能障害連絡会主催のシンポジウムを2年に1度開いているそうです。第8回には、日本高次脳機能障害友の会顧問の渡邉修先生もご講演くださいました。今回、映画を真剣に見ていらっしゃる方の様子を見ながら、大牟田市は日本一高次脳機能障害に理解のある街なのかもしれないと感じました。
映画の中に、「今この時にも事故や病気で高次脳機能障害になっている方がいるかもしれない。」「誰がいつなってもおかしくない障害なのにみんな知らない。」というような訴えがありました。この映画を見て、ひとりでも理解してくださる方が増えるとよいと願います。
映画をご視聴されることがありましたら、エンドロールの「日本高次脳機能障害友の会」の文字もお見落としなく!
 
*脳損傷友の会コロポックル(北海道)では、来年の家族会総会に、映画「いのち見つめて~高次脳機能障害と現代社会~」の上映を計画、その後札幌市内で一般上映ができたらと考えています。皆さんも各地の家族会の集まりで、いっしょに映画をご覧になりませんか。(脳損傷友の会コロポックル 内田 由貴子)

 
◇家族会紹介
『高次脳機能障害友の会「おおいた」』
全国の皆さま、こんにちは。いつも大変お世話になっております。萱嶋前会長の後任として、二年前より高次脳機能障害友の会「おおいた」の会長兼事務局をさせていただいています西田さよ子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
当事者である息子は八歳の時に脳梗塞を発症し、一時は重篤な状況でしたが、二十年間、多くの方々に支えられ励ましていただきながら今日に至っています。思春期以降、精神的にずいぶんと苦労してきましたが、右手だけで全てをこなし、てんかんの起きる恐怖も乗り越え、出会いや別れ、アパートでの一人暮らし、パラリンピック聖火ランナー等、様々な経験を経て、高次脳機能障害に対する受け入れもできてきているように見受けられます。社会に出てから時間を決めて毎日歩き筋トレを継続しています。運動が功を奏してか、いつの間にか人生を悲観することなく前向きに生きることができるようになっており、親も励まされています。現在は持ち前の明るさと行動力や感性を活かし、動画撮影や編集に挑戦し、家族を楽しませてくれています。
私自身も家族会の萱嶋前会長と先輩会員との出会いで大きく人生が変わりました。親子の今があるのは、大分の家族会や拠点病院、全国の家族会をはじめ関係機関の皆さまのお陰だと心より感謝しています。
お姉さん的存在の香川の元会長の岩部さんとの出会いにより全国の方々とも少しずつ出会えるようになりました。また、ズームによる全国大会、リハビリテーション講習会等を通し、社会的行動障害についての学びができ、息子や当事者理解に役立ち、とても嬉しく思っています。さらに、イーハトーヴ主催のピアサポーター・ピアカウンセラー養成講座でのポジティブフィードバックとの出会いは息子と一番よくない関係だった私との関係をよい方向へと大きく変えてくれました。
現在、友の会「おおいた」では、月に一度奇数月の第三土曜日と偶数月の第二日曜日に定例会を開催しています。また、全国からいただいた情報も含め、毎月手作りの会報を会員の皆さまにお届けしています。
前半はコロナ禍でなかなか動けませんでしたが、今年度は高次脳機能障害の周知を目指し、十月~十一月にかけて手作りの家族会のチラシ千五百枚を携え、会員さんにもご協力いただきながら、県内十八市町村に足を運び、障害福祉課長と高次脳機能障害の担当者を訪問し、懇談を通し情報提供をし、地域の状況をお聞きしながら市民への周知をお願いしてきました。最近では地域包括支援センターや障害者相談支援センターの相談員さんが繋いでくださった当事者家族や高次脳機能障害を学びたいという議員が定例会に参加してくださるようになりました。
これからも繋がりと出会いを大切にしながら、皆で一つ一つ課題を解決していき、思いを少しずつ形にしていきたいと思っています。
(会長 西田 さよ子)                    

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NPO法人 日本高次脳機能障害友の会
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事務局 岡村 忠弘
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