2022年10月15日
日本高次脳機能障害友の会通信が届きました

日本高次脳機能障害友の会より「2022年度メール通信No.4」が届きました。
くわしい資料(PDFファイル)が添付されている情報もあるのですが
ここに転載するのは手間がかかるので割愛しました。ご入用の方はお知らせください。


全国のみなさま

◇訃報
 皆様に残念なお知らせをお伝えしなければなりません。日本高次脳機能障害友の会前理事の大野美絵さんはかねてより病気療養中でしたが、令和4年9月20日に永眠いたしました。生前のご厚誼に心より感謝し謹んでお知らせ申し上げます。大野さんの優しい笑顔を思い出すたびに胸が痛みます。心からご冥福をお祈りいたします。
(日本高次脳機能障害友の会 理事長 片岡保憲)

◇理事だより~大野美絵さんを偲んで
 「美絵さん、いつもありがとう」

まだ気持ちの整理がつかぬまま、2018年に開催したキッズネットワーク宿泊イベントで製作した「きょうだいへのメッセージ集」を読み返しています。その中に、美絵さんがきょうだいトーク(きょうだい児が集まって話し合う会)に参加した、当時15歳の娘さん宛に執筆されたメッセージがあります。以下に紹介します。

もうすぐ15歳になるあなたへ、今だから伝えたいことがあります。
あなたの生まれる少し前、あなたが生まれることを楽しみにしていたあなたの知らない兄がいました。よく母の大きなおなかを触って「元気に生まれて来いよ!」と語りかけていた兄は、その日も、母の身体を気遣って買い物カートを押し、荷物持ちをしてくれました。母の好みに付き合ってドーナツランチをほおばりながら、買ったばかりの夏休みに読む本を少し読んでほしいと母の読み聞かせを聞いていました。今思えば、おなかのあなたにも聞かせたかったのかな。弟がいて既に兄だったけれど、あなたが生まれてくることで、さらに、兄らしくなろうとしていたのかもしれません。まだ、8歳だったけれど、頼りがいのある兄になろうとしていた彼は、母にとってかけがえのない息子でした。だから、彼が命の瀬戸際にある時、あなたがおなかにいたけれど、母は自分の命に代えてでも助けてやりたいと思いました。ごめんなさい。
大変な状況下に生まれたあなた。そのことを薄々わかる年齢になっても、ちゃんと話したことがなかったね。あなたが元気に生まれてくれて、どれだけ家族が救われたことでしょう。母は、待ったなしのあなたの世話をすることで心のつらさを忘れることができました。きっと、父も次兄もあなたの存在で癒されていたことでしょう。気がつけば、もう、あなたもあなたの知らない兄の歳をとうに過ぎましたね。今まで、兄や、その世話をしている母を気遣って言い出せなかったこと、我慢したこともあったでしょう。あなたも昔の兄のように思いやりのある子に育って母はうれしいです。でも、遠慮ばかりしていては、自分の本当にやりたいことができないから、もっと、自分を出していいんだよ。自分の思いをちゃんと伝えて、一生懸命にやれば、誰もわがままと思わないよ。母は、あなたに自分をしっかり持って強く生きていってほしいと願い、いつも応援しているから。
 
美絵さんの次男さんが「母はいつも自分のことは後回しで、ひとのために生きた人生でした」と仰いました。富山の先生方はチームワークが本当にすばらしく、小児支援においては家族会「高志」の役員として尽力する美絵さんと山加代子さんのお二人に救われ、共に支え合い、親子で立ち直っていかれたご家族がたくさんいらっしゃいます。山さんはいつも「私と大野さんで一人前や」と仰いますが、家族と地域をつなぐパイプ役として、ハートフル&パワフルに日々尽力するお二人は、私たち子どもの家族会メンバーの憧れであり目標となる先輩母です。また、大切な仲間です。
先日、娘(弟が当事者)が結婚式をあげました。きょうだいトークをきっかけに仲良くなった女の子たちから祝電が届きました。美絵さんの娘さんも祝ってくれました。
美絵さんはこれからもずっと、あのやわらかな笑顔で私たちを支えてくれると思います。
美絵さん、いつもありがとう。心から感謝の気持ちをこめて。
                                     (ハイリハキッズ 代表 中村 千穂)

◇報告
○脳外傷友の会高志(富山県)代表の山 加代子さんを紹介する記事が「北日本新聞」に掲載されました。*資料①

◇オンライン全国大会
○2022年度オンライン全国大会に向けて
 このところ気候変動の影響でしょうか、季節が行ったり来たり、気圧の乱高下も続いております。体調管理が難しい日々が続いておりますが、当事者・家族の皆様、支援の現場で活動されている皆様におかれましては、お変わりなくお過ごしでしょうか。
 さて、新型コロナウイルスの感染状況も少しずつ落ち着いてきて、屋外はもとより屋内でのマスク着用の是非が問われたり、週末のイベントや観光地での賑わいがニュースで取り上げられるようになってきました。
 2019年までは、この季節、日本高次脳機能障害友の会の全国大会が開催され全国から大勢の当事者・家族・支援者が集い、歓談の輪ができ、旧交を温めあう姿が見られました。残念ながら、新型コロナウイルス感染拡大によって、多くの当事者・家族にとっての年に一度の邂逅の場が奪われてしまいました。
 しかしながら、日本高次脳機能障害友の会にとって、この間に「高次脳機能障害支援法」の成立を目指すという明確な目標が形成され、片岡理事長の熱意と活躍、国会議員をはじめとした多くの方々の理解と支援により、一歩一歩ゴールに向かってすすんでおります。この流れは昨年10月2日の「2021年度オンライン全国大会」の中で、多くの参加者に感じとっていただけたのではないでしょうか。
2022年度は本来であれば、福島県での開催を予定しておりましたが、予測不能な新型コロナウイルス感染拡大の状況や、会場に予定していたホテルが今春の地震で被災したことにより使用が難しくなってしまったことも重なり、今年度も「オンライン全国大会」を次の通り、企画しております。なお、会員家族会、支援機関等へのチラシ等の送付は11月上旬を予定しております。

「2022年度オンライン全国大会」
日時 : 令和5年1月15日(日)~開始時間 9:30 終了時間 14:00
講師 : 深津玲子氏  渡邉修氏  加藤俊宏氏  片岡保憲氏  中村千穂氏
シンポジウムコーディネーター : 山口加代子氏  瀧澤学氏  生方克之氏
*午前はシンポジウム、午後は家族会紹介の予定

日本高次脳機能障害友の会「オンライン全国大会」実行委員会
     (NPO法人高次脳機能障害友の会ナナ 理事長 外﨑信子)

◇お知らせ
○山口県高次脳機能障害リハビリテーション講習会が10月30日(日)開催されます。オンライン開催*資料②

○香川高次脳機能障害リハビリテーション講習会が11月27日(日)で開催されます。会場とオンライン両方の形式*資料③

○宮城高次脳機能障害リハビリテーション講習会が1月15日(土)開催されます。ライブ動画配信*資料④

○東京都高次脳機能障害リハビリテーション講習会が第1回11月20日(日)、第2回2月19日(日)オンライン開催*資料⑤

○旭川リハビリテーション講習会が11月12日(土)~12月2日(金)オンライン配信されます。*資料⑥

○石川県リハビリテーション講習会が11月1日(火)~11月30日(水)オンライン配信されます。*資料⑦

◇書籍紹介
「事故から始まるAnother Life やっとつかんだMy Life」著者:MI・HO・KO
語学留学中の交通事故で高次脳機能障害となり、結婚、進学、出産、子育てを経験している女性の体験記です。今まで幾多の苦難を経験するとともに、現在も高次脳機能障害の症状と向き合いながら生活されている様子が描かれています。
(神奈川県総合リハビリテーション事業団 瀧澤 学)

◇家族会紹介
 新潟県の高次脳機能障害友の会「スワン」の会員は、減る一方です。活動らしい活動が出来ていない現在。入会を勧めるなんてとても出来ません。古くからの会員は、年を取る一方で、ますます動きが鈍っていきます。新潟の支援体制が整ってどこの福祉サービスでも高次脳機能障がいのある方を支援できるようになれば、私のような存在はいらなくなるのではないかと思う今日この頃です。
コロナ禍の今、ライフワークだと思ってやってきた、困っている当事者家族への訪問、家族の集いや専門職の方への講話はめっきり減りました。
Webの講話も引き受けますが、聞き手の空気が感じられず苦手です。心が何かに抑圧されているような感覚の毎日ですが、鬱々としないのは通所施設の利用者(スワン就労継続支援B型)と毎日一緒にいるからだと思います。

半年ほど前、ストーカーだと警察に通報された利用者がいました。慌てて警察へ行き、高次脳機能障害の症状を説明し、「彼だけが一方的に悪いとは思っていませんから石井さん安心してください。」と警察の方に優しく言われて帰ってきました。行動パターンの修正をその利用者に提案し、本人に今の状況(通報されていること)を説明し納得してもらい、それでも疑心暗鬼になっている彼に「何かあったら私も立ち会うから信じて!」と言い、問題が治まった時は心地よい疲労感と達成感に包まれ、そして時間の流れと共に穏やかになっていく利用者の表情に癒されていきました。
スワンの利用者はいつも誰かが何かしら困っていて、余裕の無いキャパで何とか対処し、利用者の良い変化に立ち会える。その人の人生のほんの一部に関われる“現場は最高!”と私の日常を充実したものにしてくれています。

さて、家族会のスワンは平成21年から損保協会様からの助成で「心理療法セミナー」「未来を考えるセミナー」「リハビリテーション講習会」を開催してきました。継続は難しいことです。私はここ数年、講習会の内容など今何が求められているのか分からなくなっています。覇気が無くなり“休みたい”という気持ちが大きくなっていました。コロナ禍でもあるし、Web開催という苦手な開催方法に慣れることが出来ないし、さすがに今年は中止しようかと思っていました。そしてお世話になっている先生方に相談をしました。
すると、みなさん「続けましょうよ」と言われます。
この助成事業を始めたころは、この事業は私の張り合いになっていました。毎年わくわくしながら企画していました。その半面、心の隅に「なんで私ばっかり・・・」という不満も正直ありました。しかし先生方はそんな私を優しく温かく受けとめて支えてくださいました。
10年以上も経ち、あのころのわくわく感はなくなってしまいましたが、ずっと関わってくださっていた先生方が今はへばり気味な私の手をしっかりと握り、引っ張っていってくださっていることに気づかされました。“続けるって難しいし大変。でもきっとやればやっただけの何かが、何かしらの形で遺るはず。支えてくれている皆さんに感謝をして、今ではだいぶ小さくなった『不満』からはそろそろ卒業しないといけません。
(高次脳機能障害友の会「スワン」会長 石井 祐子)

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事務局 岡村 忠弘
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