2023年2月20日
2022年度メール通信No.6が届きました

NPO法人日本高次脳機能障害友の会から、メール通信が届きましたので転載します。

◇理事だより
皆さんこんにちは。私はNPO法人高次脳機能障がい友の会うつくしまの理事を務めております遠藤と申します。日本高次脳機能障友の会の20回目を福島大会としておりましたが目の前に来て地震が2年続き、会場が震災により被災したのちは新型コロナウイルス感染症が猛威を振るいました。現在も各地において終息が見えてこない状況下で全国の会員さんもご苦労されていると思います。
福島の家族会もNPO法人を立ち上げてから震災やコロナに立ち塞がれて会員が減少し、今も活動が難しい状況が続いています。毎年、今年こそはと念じております。現在、岸田総理がコロナを2類から5類に引き下げを検討とマスコミで報道されていますが、脳に障害を抱えている当事者や家族にとって不安な心境は拭えないと思っています。しかしながら新型コロナウイルス感染症はその都度、変異しておりなかなか終息には行かない状況です。
福島の全国大会は対面で開催したい!
福島大会はリアル開催にこだわっていて、終息したのちに開催したいと考えております。なぜなら東日本大震災後の原発事故では、全国の会員さんに支援や励ましの言葉を頂き、福島の会員から感謝を伝えたいと思っています。そして、大会後にぜひ現在の福島各地を見て頂きたいです。  
復興半ばではありますが、自然豊かな名所もたくさんあります。郡山市には安積疏水(猪苗代湖から郡山市へ水の確保)があり、歴史散策が楽しめます。郡山熱海には温泉郷。また、隣町には日本3大滝桜と三春町(城下町)、そして東洋一として名高いあぶくま洞があります。会津若松には鶴ヶ城をはじめ歴史館や城下町の散策等の他、東京電力原子力発電所の事故から復興に頑張って前に進んでいる浜通りを見て頂きたく考えております。是非とも福島大会に全国から集まって頂き、前夜祭での当事者や家族及び支援者が一同に会した笑顔でお会いしたいものです。全国大会を今までの障壁を打ち砕き参加者の意見交換等ができる唯一の共有できる場と思っています。
色々な方の応援で福島の家族会がスタート
福島家族会の始まりは、神奈川のナナの会福島支部として始まったのがきっかけです。しかし、年2回程度の食事会の為いつの間にか自然消滅してしまいました。
その後平成18年に現在の脳疾患研究所総合南東北病院において、当時日本脳外傷友の会の東川理事長が高次脳機能障害についての講演会に来てくださったのをきっかけに、3家族がその後に再会し、ナナの会の大塚さんのアドバイスを頂き平成18年12月に家族会を立ち上げました。即NHKの取材を受け、また民間放送でもうちの息子の起床から作業所や自宅までの様子が放映され、高次脳機能障害を知ってもらう機会となりました。当時の私は高次脳機能障害についてはまだ勉強不足で未熟でしたが、当事者を持つ家族の思いは同じとの思いを強くしました。
当初は拠点機関として総合南東北病院のみの為、各地方からはなかなか相談ができない状況でした。その後、県の障害福祉課のサポートにより会津・南会津地区・県北・県南・いわき・相双と拠点機関を増設して頂き、当事者家族が身近に相談できる協力病院ができたので地域密着のサポートができるようになりました。
また、各所で家族サロンを開催していましたが、新型コロナウイルス感染症が増えてからは、各病院も家族サロンを延期することとなり、会員の皆さんには電話等で相談しています。その為会員も10家族が退会し、新規加入はここ3年近くは0です。NPO法人を立ち上げても事業をしていないこともあり、相談業務だけでは日々のサポートが困難と反省としています。いまの世の中はリモートなどを利用していますが何しろ会員もITにはついていけなく今に至っております。
全国大会開催を願って
日本高次脳機能障友の会理事会でもZOOM会議や講演会などを各地で行っていると耳にしますので福島もと思っている次第です。しかしこの頃、ニュースで総理がコロナ感染症を5類に引き下げるとのことで、あとは地震が来ないように願っています。日本高次脳機能障害友の会の理事会で相談しながら、福島で全国大会を開けるよう進めていきます。これからは高次脳機能障害支援法の動きも活発化するようになり、医療も日進月歩で進んで、支援の在り方も変わってくるでしょう。ピアサポータ育成に力を注ぎ、全国の家族会がより良いサポートができるように家族会が努力することも大事と思います。 
(NPO法人高次脳機能障がい友の会うつくしま  理事長 遠藤良一)
             
◇報告

○日本高次脳機能障害友の会オンライン全国大会
1月15日に開催された2022年度オンライン全国大会が無事に終了いたしました。「高次脳機能障害支援法制定に向けて」というテーマのもと、様々な分野の先生方に講演いただき、私たちが望む高次脳機能障害者支援法のイメージが少しずつ明確になってきたのではないかと思います。大変有意義なご講演をいただきました、国立障害者リハビリテーションセンター顧問の深津玲子先生、慈恵医科大学第三病院リハビリテーション科の渡邉修先生、NPO法人高次脳機能障害支援笑い太鼓の加藤俊宏様、ハイリハキッズ代表の中村千穂様に感謝申し上げます。また、本大会には、約400名の方にご参加いただきました。高次脳機能障害に関する社会的課題を共有し、これからの高次脳機能障害者支援を一緒に考えて下さっている皆様方に心から感謝いたします。引き続き何卒よろしくお願いいたします。
もう一つ重要なご報告があります。2月10日~12日に滋賀県で開催されましたアメニティ―フォーラム26の「作る法律、見直す法律!~障害者基本法の見直し・高次脳機能障害者支援法の制定・2025万博に障害者の芸術を~」というプログラムに、日本高次脳機能障害友の会の顧問でもある慈恵医科大学第三病院リハビリテーション科の渡邉修先生が登壇されました。このプログラムには、野澤和弘先生(植草学園大学副学長)の進行のもと、衛藤晟一先生(自民党・障害児者問題調査会顧問)、田畑裕明先生(自民党・厚生労働部会長)、山本博司先生 (公明党・障害者福祉委員会顧問)、高木美智代先生(公明党・顧問)、久保厚子先生(全国手をつなぐ育成会連合会会長)、石川准先生(前内閣府障害者政策委員会委員長)とともに渡邉修先生が登壇され、高次脳機能障害者支援法の必要性を訴えてくださいました。自民党、公明党の先生方から、今年の秋の国会での高次脳機能障害者支援法の成立を目指しましょう!という力強い言葉をいただき、胸が熱くなりました。皆さんとともに長年もとめてきた高次脳機能障害者支援法が成立する日が近いのかもしれません。これからもご協力の程、何卒よろしくお願いいたします。             
(日本高次脳機能障害友の会理事長 片岡保憲)

○日本高次脳機能障害友の会オンライン全国大会
2022年度オンライン全国大会がR5/1/15開催されました。「高次脳機能障害支援法制定に向けて」というテーマで各演者からご講演をいただきました。高次脳機能障害支援法が制定された場合、「高次脳機能障害の定義」「受症発症から社会参加まで、小児から大人まで、多機関が連携したシームレスな支援」「高次脳機能障害支援センターの設置」「大都市特例等」を定めた理念法・基本法となり、具体的な支援施策は法の施行後に検討することとなります。
それらを踏まえて5人の演者がそれぞれの立場から高次脳機能障害支援の現状と高次脳機能障害支援法が制定されることでの効果等を講演いただきました。

1.国立障害者リハビリテーションセンター顧問の深津先生からは、現在国立リハで取り組んでいる研修のパッケージ化、支援困難度を評価する指標開発、現在の診断基準の見直し、についてご説明いただきました。
2.慈恵医科大学第三病院リハビリテーション科の渡邉先生は医療の立場から、診療を行う中で小児、成人、家族支援への課題についてご提言いただきました。
3.NPO法人高次脳機能障害支援笑い太鼓の加藤様は支援者の立場より、事例を交えて、多機関が連携する中で高次脳機能障害がある方を支援する中で、障害者手帳や障害年金の診断書が作成されず、退院後の目標設定が不明確な中、介護保険や障害福祉サービスとの連携舌支援体制も不十分なまま地域生活を余儀なくされている現状と課題についてお話しいただきました。
4.NPO法人日本高次脳機能障害友の会理事長の片岡様は家族の立場から、脳損傷後の生きづらさに焦点を当てて、高次脳機能障害者に対する理解を有した社会の構築を訴えられました。
5.ハイリハキッズの中村様は、小児高次脳機能障害の特性やハイリハキッズ等での活動を踏まえて、大人の後回しにしない支援体制づくりを述べていただきました。

現在、高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業を所管している部署は厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課であり、ここまで障害福祉サービスを中心としつつ、就労支援を含めた社会参加支援を推進するために大きな役割を果たしていただいています。今後は、教育、医療、社会からの理解と支援等を含めた省庁の垣根を越えた取り組みを行うためには、法制化なくしてはありえないことを今回の大会で再認しました。
そのためには、ロビー活動を始め、国政に積極的に働きかけていく必要があると思いますが、他方、高次脳機能障害がある人とその家族が各都道府県で団結して、現状と課題を訴え続ける必要もあると考えます。大会中の質疑応答には、「軽度の高次脳機能障害も大変です」「なかなか正確な診断評価につながりません」「どうしたら医療現場で高次脳機能障害に関心を持ってもらえるのでしょうか」等の声が寄せられました。司会を務めながら、このような当事者家族の生きた声を、直接届けることも肝要であると思慮しておりました。
(神奈川県総合リハビリテーション事業団 瀧澤 学)

○日本高次脳機能障害友の会オンライン全国大会【参加数・アンケート】
 令和5年1月15日に開催された「オンライン全国大会」の参加者は講師の先生がたも含めると401名になります。アンケートにご協力いただいた皆様のご意見の概略をお知らせいたします。
 今回、アンケートにご協力くださった多くが医療福祉関係者の皆様でした。特にアンケートフォームの入力に慣れているという理由もうかがえます。事務局からは紙のアンケート用紙も配布しましたがFAX等で送られてきたのは当事者ご家族が多かったです。
 内容的には「大変役にたった」がほとんどで、具体的にも参加者ご自身が興味関心をお持ちの分野について、この講演者の内容が勉強になったという方や、すべての内容が良かったなど、評価が非常に高かったです。また「支援法」について知ることができた。今後に期待しているという内容の感想も寄せられていました。
 また、今後についてですが、最新の情報を得ることができるので、オンライン研修を続けてほしいというご意見が多くありました。対面も大事であることは理解できるが、ハイブリッドを検討してほしいという意見もありました。
(NP0法人高次脳機能障害友の会ナナ 理事長 外﨑信子)

 *アンケートの最終集計までには今少し時間がかかりそうとのことで、概略のみの報告いただきました。

◇お知らせ

○令和4年度 第2回高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会
主  催 国立障害者リハビリテーションセンター
日  時 令和5年2月17日(金)10:00~12:00
開催方法 Web会議方式(Zoom使用)
対  象 高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会委員

○令和4年度 第2回支援コーディネーター全国会議・シンポジウム
主  催 国立障害者リハビリテーションセンター
日  時 令和5年2月17日(金)13:00~16:00
開催方法 Web会議(Zoom使用)
対  象 高次脳機能障害支援拠点機関に所属する支援コーディネーター
http://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/event/参照

◇書籍紹介

○高次脳機能障害のある人に“伝わる説明”便利帳 *資料①
監修 山田和雄、日比野敬明、稲垣亜紀、間瀬光人
編集 稲葉健太郎、長野友里
著 名古屋市総合リハビリテーションセンター(なごや高次脳機能障害支援センター)

*この種の本を待っていました!
高次脳機能障害者に伝えたい事柄がなかなか伝わらず、双方のイライラが高じて爆発してしまったという経験を皆さんお持ちのことでしょう。私もこの本から学んで、息子といっそう心の通じ合える関係を続けていきたいと願っています。息子の世話になっている事業所や、シェアハウスにも贈ろうとも思っています。待ち望んでいた本です。皆さんもお手元にこの一冊を!!                
(脳損傷友の会コロポックル 篠原節)
                                           
◇家族会紹介

「とちぎ高次脳機能障害友の会」は2008年に設立され、この2月で16年目を迎える栃木県の高次脳機能障害当事者と家族・そして支援者からなる家族会です。活動は栃木県全域を視野に入れて行っていますが、定例会や家族の集い等の主な活動は、ほぼ県の中央部に位置し栃木県の県都でもある宇都宮市内の公共施設を借りて実施しています。
一方、コロナ禍以前に実施していた講演会(年1回開催)やコロナ禍になり新たに始めた小規模な家族相談会(年3回開催)は県内各市町を巡回する形で実施しています。これらの活動の目的は、栃木県内の高次脳機能障害当事者や家族の孤立を防ぎ、人と人との繋がりや社会との繋がりが意識できる機会や場所を提供することです。心を開いて互いに話ができる、支援者や支援機関との関係性が実感できる機会や場所が大切で、その為の環境整備が会としての大きな役割であると考えています。
次に具体的な活動内容をご紹介します。まずは定例会ですが、4・8月を除いてほぼ毎月実施しています。この会の主体は当事者で、そこに家族会役員と支援者が加わり、毎回20人前後で実施しています。内容はパステル画・コラージュ・パソコン教室などの作業(仲間リハと呼んでいます)を通して自己理解・他者理解を深め、作業を通じてのそれぞれの交流やその後の意見交換会(なごみの会)で会員同士の関係性の構築や社会資源の情報交換等が行われます。
次に家族の集いですが隔月の開催になります。ここは家族としての悩みや苦しみが自由に話せる場で、当事者とはまた違った思いを抱える家族の本音が吐露できる場であり、参加者の心がリセットできる機会です。勿論この場でも社会資源の情報交換は盛んに行われています。
その他講演会や学習会はコロナ禍の現在中止していますが、以前は年1回ずつ開催していました。それに代わってコロナ禍では前述の小規模な家族相談会を実施し、県内各市町の行政・福祉・医療等の諸機関や県の当障害支援機関の方々にも同席頂きながら、一事例ずつ地域の支援に繋ぐ関係性の構築を実践しています。また他に年に1度の社会体験研修バス旅行やクリスマス会等の楽しい催物も行っています。
このような活動の内容は会報誌なごみだよりを年3回発行して会員及び関連機関等に広く配布し、またHPも開設して会の活動を公開しています。その他電話や面談・メール等による個別相談も随時実施しています。更に県や支援機関との連携で各種委員会参加、運営相互協力、講師派遣等、また他障害者団体との相互理解と栃木県福祉行政向上のための連携した取り組み(学習会や情報交換等とちぎ障害フォーラムの一員としての活動)にも参加しています。
以上が私たち家族会の主な取り組みです。まだまだ財政規模も小さくよちよち歩きの会ですが、栃木県の高次脳機能障害者を取り巻く環境の厳しさを考えると、この流れを止めることなく更なる活動の展開が必要であるとも考えています。
(とちぎ高次脳機能障害友の会 代表 中野 和子)

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NPO法人 日本高次脳機能障害友の会
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事務局 岡村 忠弘
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