南房総高次脳機能障害家族と支援者の会 なんぼーこーじの毎月更新の会報です
安房の国から2024 南房会ストック12月号
南房総高次脳機能障害家族と支援者の会

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今後の予定

・12月20日(金)9時30分~11時30分
          高次脳機能障害普及・啓発活動
          ドキュメンタリー映画会「あなたの笑顔を覚えていたい」
          会場:勝浦市芸術文化交流センターキュステ
          参加費:無料 申し込み:不要
          問い合わせ:亀田リハビリテーション病院
                04-7093-1400 藤屋・うえむら

・12月21日(土)午後1時30分~ 沓見楽市座
          家族会定例会「お疲れさま忘年会」  
          会費300円

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   「日本高次脳機能障害友の会全国大会 2024in福島」

 今回のテーマは「集える場所 居場所が勇気をくれる~福島から届けよう私たちの未来」。昨年の東京大会は参加できましたが、今回は諸般の事情により参加できませんでした…残念!
 いよいよ法律として制定に向かっている高次脳機能障害支援法を前に注目の大会ですね。大会に参加された方からの熱気が伝わってきます。前夜祭の交流会はさすが福島。皆さんご存じの常磐ハワイアンセンターといえば、あの超有名なフラガールが登場ですから、会場が大盛り上がりだったそうです。また、郡山では古くから伝わる「ひょっとこ踊り」も披露され、思わず参加者の飛び入りもあったようで、会場が大笑いだったそうです。
 さて大会当日は、友の会顧問の渡邉修先生が基調講演。同じく顧問の瀧澤学先生による「高次脳支援法で何が変わる」の講演。午後は総合南東北病院神経心理学研究部門科長の佐藤睦子先生が座長で、東北大学大学院医学研究科高次脳機能障害学教授の鈴木匡子先生による「高次脳機能障害者の行動の理解に向けて」と、医療法人健脳会さとう脳神経クリニック院長の土屋真里夫先生の「他人事じゃない!てんかんの真実」の講演が行われました。その後、シンポジウム「サロンからともに始まった第一歩」では、今回の大会開催地の福島県の活動が紹介され、県内各地域でサロンを開催、参加した皆さんが思いのままを話し高次脳機能障害の勉強会を広く行い、当事者家族の支えになっているとのことでした。
 この第20回全国大会2024in福島の詳しい内容については、冊子でまとめられ後日各家族会に報告されますのでお楽しみに。来年の第21回全国大会は「感謝を心に、つながる・つなげる支援の輪~想いを語ろう、想いを聞こう~」をスローガンに10月3・4日福井で行われます。ぜひ参加しましょう。

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   「南房総高次脳機能障害家族と支援者の会って?」

 ある日家に1本の電話。「○○警察ですが○○さんのお宅ですか?」「はいそうですが」「旦那さんが交通事故で救急車で運ばれ、○○病院で治療を受けています」
 朝「行ってくるよ」と言って元気に家を出たが30分後、病院の集中治療室で生死の境にいる。突然の出来事に何をどうすればいいのか・・・?
 なんとか危機は脱した。医者から「もう大丈夫ですよ」と言われホッとするも2ヶ月の入院後リハビリ病院に移る。更に1ヶ月後「もうリハビリ病院で出来る事はありません」と退院、自宅に帰り近所の皆さんも「退院できてよかったね」。家族でひと安心して今後の生活をと考えます。ところが数ヶ月後「ん?」何かおかしい?長年共に生活しているが以前と違う「まるで人が変ったような?」。そこで病院の担当医に相談に行くと「事故の後遺症でしょう。大丈夫、少し様子をみましょう」と言われるが半年たっても変らない。「おかしい、どこかおかしい?いったい旦那はどうなったのか?」
 見た目ではわからない福祉の谷間と言われる高次脳機能障害をなんとかしたいと、2000年前後に全国で家族会結成の動きがあり、安房地域では中核生活支援センター「ひだまり」や亀田リハビリ病院の支援もあり、2007年4月に南房総高次脳機能障害家族と支援者の会が発足、高次脳機能障害友の会全国組織に準会員として加盟、現在に至っています。中心で動いてる家族は5家族と支援団体は5団体。安房地域の障害者支援B型作業所との交流もあり、高次脳機能障害当事者がお世話になっています。
 家族会結成当初は、月1回の定例会を館山・鴨川のコミニティセンターを交互に借りて行いましたが、会員から「拠点がほしいね」の声もあり、旧丸山町の沓見にあるNPO法人スマイル安房の交流施設を借りて行っています。
 当初の定例会は会員自体がこの障害についてよくわからないため、「高次脳機能障害ってなに?」の学習会が中心でした。学習会を行う中で「高次脳機能障害をこの地域でどう広めていこう?高次脳機能障害って皆さん知らないよね」の声もあり、「それだったらこっちから出ていこう」と地域で行われるフリーマーケットを調べて雑貨販売で参加、多少の売上もあって活動資金で旗やチラシを作りました。フリーマーケットも回を重ねるうちに主催者側から案内も届くようになり、また参加団体間の交流もあって、徐々にですが広まって行きました。
 家族会の活動も軌道に乗りはじめ、定例会には新たに高次脳機能障害になった方の見学もあり、会員も少しづつ増えてきましたが、交流施設には冷暖房設備がないため2月の寒い時期と残暑で暑い9月は、亀田リハビリ病院を借りてで行うようになりました。亀田リハビリ病院にはいすみ圏域からリハビリに通う当事者もいるので、定例会を見学しませんか?と呼びかけたところ、数家族の参加があり会員にもなってくれた方もいました。しかし、いすみ圏域から安房地域までの移動は長続きしませんでした。とはいえいすみ地域の当事者家族みなさんのためにも家族会は必要だと実感しました。
 私たち高次脳機能障害家族会の本来の存在意義として、病気や事故で高次脳機能障害になった当事者の社会復帰を支援するのは当然ですが、一家を支えるあるいは今後支えるであろう方が倒れた時の家族の落胆ぶりは、それを経験した家族でなければわかりません。リハビリ病院は当事者の回復に全力で治療してくれますが、その家族のサポートまでは難しいところですね。一命を取り留め当事者が家に戻った時に、家族が元気に笑顔で迎えることができるよう、家族会は当事者と家族に寄り添っていければと思っています。
 先日行われた高次脳全国大会では、全国の家族会が待ち望んでいる高次脳機能障害支援法の成立も近く、その前段で各障害者支援施設に高次脳機能障害専門の支援員の設置をするための講習会も予定されています。
 12月20日予定されているドキュメンタリー映画「あなたの顔を覚えていたい」を見て、高次脳機能障害を理解していただきたいと思っています。

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   高次脳機能障害「脳梗塞からのリハビリ・・支えは家族だった!」

 以前あるスポーツ紙を読んでいたとき、最後ページに皆さんご存知の横綱大鵬さんの手記が載っていました。私が子供のころは「巨人・大鵬・卵焼き」と、子供だけではなく大人にも人気の合言葉にもなっていて、柏戸・大鵬両横綱の大一番は大歓声でした。昭和55年初土俵、60年新入幕、61年第48代横綱、2度の6連覇などで幕内優勝32回の最多優勝回数など輝かしい記録を残し、71年夏場所で引退しました。その後親方として大鵬部屋を構え後進の指導に専念、相撲協会理事となって相撲界の発展に貢献しています。
 一度だけNHKの相撲解説者として取り組みの解説を聞いたことがあります。辛口で大関・横綱の取り組みを見て「あれでは駄目だ!もっと前に出ろ!稽古がたらん!」と勝った力士にも言うものですから、解説者としては人気が出なかったのか、その後解説を聞く機会はありませんでした。ところが今回の手記で、1971年に相撲界引退後、77年に脳梗塞で倒れ手術後左半身が麻痺、歩くことも物を持つこともできない身体になっていたことに愕然としました。当然リハビリに専念するようになりますが、あの横綱が病院の廊下を這(は)う姿は、見て通る人の目には不思議というよりは異様な光景だったでしょう。人並はずれた体格ですから誰が見ても大鵬だとわかります。
 大鵬さんは主治医の方に「先生何でも言ってください。何でもやりますから!」。大鵬部屋の弟子たちが心配で夜も眠れなかったそうで、早く元の姿に戻らなければと朝4時に起きて手や足の機能訓練・公園でのキャッチボール・近所の歩行訓練・おはじきをつまむ訓練・審判の仕事に復帰したときのために土俵と同じ高さを上がったり下がったりの訓練など、精力的にリハビリに励んだそうです。地道な積み重ねが実り、杖を使わず手すりに捕まらず歩けるようになります。「可哀想に」と指差す人や、「なんだ!横綱がこんなことも出来ないのか」と言われるのが逆に励みに聞こえる精神的な強さもあったのでしょう。車も運転できるまでに見事に回復!
 「このリハビリを通して思うことは、医師の力に頼るのではなく、自分から前向きに進んでやらなければ意味がない!」と思ったそうで、妻や家族の献身的な支えがなければここまでの回復はなかったと、家族に感謝する手記でした。
 相撲解説者としてテレビに出たものの、思わず「稽古がたらん!」と言ってしまうのも、今後の相撲界をリードする現役に叱咤激励の意味があったのかと思います。何かと問題がある今の相撲界、大先輩の思いを受け継いでほしいと願っています。2005年定年退職、同時に相撲博物館館長に就任し5年後館長退任。生涯相撲一筋だった大鵬さんに「お疲れ様でした」と言いたいですね。ちなみに、すでに引退した横綱「白鵬」の名は、当時ライバルだった柏戸・大鵬の名を1字づつ取った名だそうで、見事に最強の横綱になりました。
  大鵬 (本名 納谷幸喜)1940年5月29日~2013年1月19日 満72歳

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   「最近よく聞くピアサポートって何?」

 ピアサポートとは、ピアは英語で仲間を意味します。サポートは支えるで、病気や交通事故で高次脳機能障害になり支援(援助)を必要としている当事者に対し、家族会に入っていただき、家族会会員どうしで気軽に相談に応じ、手助けを行う活動を言います。
 南房総地域で高次脳機能障害家族会が出来て17年、この間に病院で高次脳機能障害と診断された当事者と会い、入会後定例会に参加する中で「同じ障害の人がいて心強い」という声を聞きます。会員のみなさんがお互いを支え合い寄り添い、共にこの障害を乗り越え、社会復帰を目指す手助けをしていく会です。
 「病院でもいいのでは?」との声もありますが、病院には様々な患者がいて限界があります。家族会のように同じ障害を持つ当事者がお互いの悩みを相談できる場所がベストであり、そこにリハビリ病院や専門医のとの連携、行政との橋渡しをしてくれる中核支援センター「ひだまり」や障害者就労支援施設があれば、更に心強いですね。また交通事故では本人は集中治療室で動けず、その後の処理は家族が行う、ところが何をどうすれば解決できるのかまったくわからない?そんな時も家族会には交通事故専門の相談窓口があります。
 高次脳機能障害は、脳梗塞やくも膜下出血あるいは交通事故で、記憶できない・身体が動かない・急に暴れだす等、発生する障害はさまざまで、人生の途中で急になるため「人が変った」「以前は何でも積極的だったが今は寝てばかり」と家族が戸惑う話をよく聞きます。しかし当事者本人は以前の自分を取り戻すため闘っています。回復にはかなりの時間が必要で、家族の皆さんがこの障害を理解しどれだけサポートできるかにかかっています。
 家族会は、その家族をサポートするため定例会で、その分野の専門の方にも参加いただき高次脳機能障害の普及・啓発活動を行っています。南房総高次脳機能障害家族と支援者の会では「あなたの身近に家族会を!」と広める活動も行っています。

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2024年も残りあとわずかですね。野球でいえば9回裏2アウト満塁で2対1で負けています。ホームランであれば逆転サヨナラ、ヒットでも同点かサヨナラ。この試合、勝てば優勝負ければ2位で優勝と2位では雲泥の差。オリンピックの名文句に「前回の忘れ物を取りに来ました」と見事に金メダルを取った方がいましたが、さてバッターは貴方です、この試合の結果では一躍歴史に名前が刻まれ最高の場面。観客席は静まりピッチャー投げました! 2025年、貴方にとって良い年を迎えられるかの瀬戸際にいます。「まあ何もしなくても2025年は来る」と思うか「よし!来年は良い年にするぞ」と思うかで人生大きく変ります。9回裏の最後のバッターはもちろん代打ですかね。70過ぎて良い年なんて「ふん!来れるもんなら来てみろってんだー」。昔の映画の題名「俺たちに明日はない!」ってかー?でも若い皆さんは良い年を迎えてくださいね。 今年はこれでお開き!

 本日もご覧いただきありがとうございました。