南房総高次脳機能障害家族と支援者の会 なんぼーこーじの毎月更新の会報です
安房の国から2024 南房会ストック7月号
南房総高次脳機能障害家族と支援者の会

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今後の予定
         
・7月20日(土)午後1時30分~ 家族会定例会   
         高次脳機能障害VR体験「半側空間無視とは」
         亀田リハビリ病院会議室
 
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   「日本高次脳機能障害友の会第20回全国大会2024 in福島」
 

 コロナ禍以降、現地の当事者家族会が主催する初めての全国大会の開催に向け、開催地である福島県の実行委員の皆様を中心に全国大会を行います。参加申込の受付は、8月中旬~下旬ごろより開始する予定です。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
 
<全国大会開催概要>
大会テーマ「集える場所、居場所が勇気をくれる~福島から届けよう私たちの未来~」
開催日:令和6年10月4日(金)~5日(土)
会 場:ホテルハマツ(福島県郡山市虎丸町3番18号)
 


「日本高次脳機能障害友の会第20回全国大会2024 in福島」の開催にあたり
友の会より協力金のお願い


 日本高次脳機能障害友の会全国大会は、例年、一般社団法人日本損害保険協会様に助成していただき、運営しております。出来る限り費用軽減に努めておりますが、全国大会の規模拡大や近年の物価高の影響もあり、予算が厳しい状況にございます。社会情勢が何かと厳しい中、皆様には恐縮でありますが、日本高次脳機能障害友の会第20回全国⼤会2024 in福島を開催するにあたり、協力金のお願いをさせていただきたくご案内申し上げます。皆様の協力をどうぞお願いいたします。
 
(日本高次脳機能障害友の会 理事長 片岡保憲)
 
*南房総家族会としては、代表を送りたいと考えています。また、全国大会の詳細については「なんぼーこーじ」のホームページでお知らせします。
 
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    「高次脳VR体験」
 
 7月20日(土)亀田リハビリテーション病院で高次脳機能障害VR体験をします。現在日本では数台しかない機器で、半側空間無視の体験ができるそうです。テクノロジーが急速に発展する現在、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の技術は身近なものになってきました。ゲームや観光や教育だけでなく、医療やリハビリテーションにおいても活用され始めています。VR技術を用いることで、人はある場所にいながら別の仮想空間を体験することができる。医療分野における用途は、手術のシュミレーションやアシスト、認知症者の疑似体験など多岐にわたります。
 
 今回は、「高次脳機能障害者の半側空間無視とはどういう状態なのか」に焦点を当て、VRの医療応用の具体例について紹介してくれます。記憶や注意、言語計算、学習などの認知機能は人が社会生活を送るうえで重要な役割を果たしています。その機能障害は、脳卒中や脳腫瘍、頭部外傷、認知症、その他精神疾患の一症状として生じ、総称として高次脳機能障害と呼ばれているが、病院の静かで統制された環境下よりも、退院後の複雑な生活場面で表れやすいという特徴があります。よって、その能力評価やトレーニングは実際の日常生活場面において行うことが最も望ましいが、医療現場においては安全性や時間・コスト面から実現は容易ではない、そこで、こうした実生活の日常場面を医療現場で再現できるVRを用いたリハビリテーションシステムの開発と活用が有用になります。
 
 南房総家族会でも、会員の中には記憶障害や半側空間無視の当事者もいますので、今回の体験は非常に注目しています。今回は家族会会員だけでなく広く体験したいという方にも参加していただければとも思っています。
 
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   「高次脳機能障害者支援体制加算」
 
 全国の高次脳機能障害家族会が国に要望している高次脳機能障害支援法が、昨年東京で行われた全国大会で大きく前進していることを感じましたが、ただいきなり出来るわけではありません。当然ですが支援法が成立するまでに高次脳機能障害を理解している市町村にバラツキがあってはなりません。支援法成立後スムーズに動き出す為にはまだまだ多くの問題が残されています。厚生労働省で令和6年4月より全国の高次脳障害者支援施設向けに打ち出された方針が、この「高次脳機能障害者支援体制加算」といえるのではないでしょうか。
 
 高次脳機能障害とは、脳の一部が損傷したことにより、記憶や言語といった脳機能に障害が残り外見からはわかりにくい障害ですが、当事者は生活に困難を感じる事が多く支援を必要とする方が多くいます。そこで高次脳機能障害を理解する支援員を専門に配置するための体制を支援施設に作ることが求められます。
 
支援員配置の条件と報酬単価
・高次脳機能障害支援者養成研修を終了した従業員を利用者50人につき1人以上配置。
・高次脳機能障害を持つ利用者が全体の30%以上
・各都道府県のリハビリテーションで行なわれる研修の終了者
  (近年では、受講もオンライン開催が行われる場合があり)
・報酬単価は、ひと月の営業日数が22日の場合
  報酬単価41×22日×地域区分(10円)=9020円
  1年では約11万円の収益となります。(厚生労働省のデーター)
 
 高次脳機能障害者を支援できる従業員の確保は、今後ますます必要になります。千葉リハに問い合わせをしたところ、現在研修会等を検討中ですが出来れば年後半に行う予定です。そのときは県内の関係団体にお知らせ致します。とのことでした。私たち南房総家族会では、安房圏域の関係団体に広く研修を受けていただきたいと思っていますので各施設にはその準備をよろしくお願いいたします。
 
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   「児島 惟謙(こじまこれかた)」
 
 今からざっと200年ぐらい前ですかね、四国は愛媛で一人の男の子が生まれます。その1年前には、同じ四国の高知で皆さんご存じの坂本龍馬が生まれ、それから4年後、新紙幣で時の人となる渋沢栄一が埼玉の深谷で生まれます。と言えば、日本が大きく変わる大変革期の幕末ですから、皆さんこのころに生まれました。その四国は愛媛県生まれの男の子、名前を「児島惟謙(こじまこれかた)」という方で、ご存じない方も多いのではないでしょうか。その児島を有名にした事件があります。
 
 すでに幕府は大政奉還で朝廷に返上。討幕運動に参戦、戊辰戦争にも参加していた児島ですが、時代は明治となり日本の混乱期を乗り越え1870年司法省に入省、名古屋・長崎裁判所長官・大阪控訴院長を経て1891年大審院長(いまでいう最高裁判所長官)に就任、これからの日本の裁判のありかたを考え法曹界を設立。
 
 そんな中で同年滋賀県大津町においてシベリア鉄道極東地区紀工式典出席のため、世界でも最強と言われたロシア帝国海軍の艦隊を率いて日本を訪問していたニコライ皇太子を日本は国賓待遇で歓迎している時に、こともあろうにニコライ皇太子を乗せた人力車に、警備を担当していた警官の津田三蔵がサーベルを抜いて斬りかかりニコライ皇太子に重傷を負わせた事件、いわゆる大津事件が起こります。
 
 さあ大変!日本の存亡にかかわる事件として天皇や内閣は大慌て、大国ロシアが攻めてくると大騒ぎになります。このニュースは世界に報道され、多くの国は「日本に弁解の余地はない」と冷ややかで静観します。日本としては天皇や首相や外務大臣など国を挙げて謝罪、戦争にでもなればロシアと日本の国力の差を考えれば勝ち目はありません。てんやわんやの末、なんとか日本の誠意ある謝罪をニコライ皇太子やロシア側は受け入れこの事件は収まりますが、問題はこの事件を引き起こした警官、津田三蔵の処分です。
 
 政府は津田三蔵を「極刑を持って臨むべし」と児島に伝えます。しかし児島は「通常の裁判で処理すべし」と返事をします。これに驚いた政府は「国の危機を招いた極悪人」と再三死刑にするように要求しますが、児島は断固拒否します。確かに法律では「天皇や皇族に対する暴挙は断罪」というようになってはいますが、児島は「ニコライ皇太子は日本の天皇にあらず!怪我はしたが命に別状はない」などの理由で通常の裁判で「無期懲役」で結審します。
 
 幕末の混乱期を乗り越え、明治に入り近代国家の道を歩み始めたばかりの日本ですが、司法の判断に政府の介入を許さなかった判決。これに世界は絶賛します。また、日本の国民も納得、児島 惟謙を「護法の神様」と言うようになります。
 
 現在、NHKの朝ドラ「虎に翼」が放映されています。昭和の戦前・戦中・戦後の法曹界の歩みを女性の視点でとらえ、日本初の女性弁護士から女性判事・家庭裁判所長になった三淵嘉子(みぶちよしこ)をモデルに、現在の法曹界が抱える問題点などを視聴者に解りやすく伝えていることで人気ですね。ですが、ドラマ後半での3権分立を守る戦いに、NHKが、あのNHKがどう放映するのか楽しみです。「あ!やっぱり…」と思うか。「よくここまでやったね!」と言うか、児島惟謙の「護法の神様」ならぬ「護法の女神」になりますか。中途半端はゆるされませんぞ~~!
 
頑張れ 日本の法曹界!
 
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 さて7月ですね。今年の後半戦がスタートです。スポーツイベント真っ盛り、パリオリンピックやアメリカ大リーグ、それに何と言っても高校野球ですね。この甲子園球場、1924年(大正13年)と言いますから創立100年になります。開場以来、全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)および選抜高等学校野球大会(春の甲子園)という全国大会の試合会場となっているので「野球の聖地」と言われています。
 
 後にプロ球団の阪神タイガースの本拠地として年間を通して利用される人気の高い球場ですね。高校球児のために作られた球場ですから、夏の高校野球のときは阪神タイガースは長い遠征の旅に出ます。でも選手の皆さん笑顔で旅にでます。なぜなら球団の皆さんは高校野球出身で未来の阪神タイガースを背負う人材に期待しています。
 
 南房総高次脳機能障害家族会の会員にも高校球児がいます。木更津の拓大広陵で30年ぐらい前に甲子園に行っています。彼は残念ながら甲子園ではプレー出来ませんでしたが、スタンドで応援したそうです。野球部の人数が150人から200人ぐらいいたそうで、優勝か準優勝だったそうです。確かにその頃の千葉県勢は習志野・銚子商業など、出れば優勝の声がでるなど強かったです。
その彼が、卒業してすぐに交通事故で半年生死をさまよいなんとか退院しますが、身体が思うように動かない高次脳機能障害になりました。
 
 甲子園球場100年の歴史の1ページに彼がいたのが凄いことで、今でも話題になります。当然「うたごえ広場」での彼のリクエストは「栄冠は君に輝く」です。若き青春の思い出を胸に、今でもリハビリを元気にがんばっています。甲子園100年の歴史にはいろいろな人生があるんだと思いました。そんなことを思いながら今年の夏の甲子園、さてさてどんなドラマがありますか楽しみにしています。栄冠は誰に輝きますか。
 
♪~雲は湧き 光あふれて~ ああ~栄冠は 君に輝く~
 
本日もご覧になってありがとうございました。