2025年4月17日 New!
日本高次脳機能障害友の会からのメール通信

NPO法人日本高次脳機能障害友の会から、
「2025年度メール通信No.1」が届きましたので、転載します。


全国のみなさま

◇理事だより

イーハトーヴ移転顛末・・・の末には至らず現在進行形

それは突然の事でした。
2年程前のとある夕刻、当法人事務所の大家さんが来所「義母が亡くなり、こちらと本宅を姉妹で相続する。ついてはイーハトーヴさんにこのままお貸しする事が出来なくなった。購入して頂ければ幸いだが今日、明日という事ではございません。とは言え当方にも急がなければならない事情もございまして」と。正に青天の霹靂!       
 直ぐに役員会に報告。委員長・副委員長は経験豊かな外部からとの助言でイーハトーヴあり方検討委員会を立ち上げました。

 今から14年前私達がこの地に法人本部とB型事業所として居を構えた時は、まだ盛岡市が中核市になる前でしたので許認可は岩手県でした。大家さんと賃貸契約更新をしたのは半年前の事。1年半で対策し移転を考えなければなりません。盛岡市に今般の当方の事情報告と市の所有する空地・空物件、併せて施設設備改修資金の状況等を問い合わせるも、その回答は「そもそも論ですが・・イーハトーヴさんが現在ご利用の場所は第1種低層住居地域でして、現在の事業を行うことは違法です。お菓子等を作れば製造業でそれを販売すれば販売業に当たります。この用途地域でそれらを行う事は違法なんです。
・市有地については、イーハトーヴさんには無理かもしれないですが、土地だけ1億円以上の土地はあります。社福でないと購入できないでしょうね。
・補助金については盛岡市では向こう3年間予算を付けれない。もし、3年後に申請されたとしてもイーハトーヴさんに決まるとは確約できない。
・廃校についてはお近くの川目小学校は地域の人達が利用している。あるとすれば繋小学校(この地から30㎞程離れている)との回答。イーハトーヴが何か悪いことをした?
何故県では許可され、市がダメなのか? 事業所を開所する時の物件は診療所でしたから用途変更は不要で認可がされたことは確かだ。この規模が製造業や販売業と言えるのか?更に言わせてもらえば、B型事業を運営する上で、どうやって利用者への工賃を生み出せというのか?腹立たしい事この上ない!天に向かって唾を吐いても自分に降りかかるだけだと我慢!農地ならいくらでも寄付できるがこちらは更に手強い農振法という規制がある。

 その状況で私達が希望する敷地面積も充分にある中古物件を改修してお借りできる物件が浮上。話を進めてみたが家賃が月々77万円。年間924万円、10年で1億円近い。それなら新築では?地主さんが障害に理解があり将来孫がお世話になれるならと土地を破格で提供して下さる事になり、新築で計画を進め不足分をWAMからの借り入れ、1級建築士が行政手続きと建設見積と設計図を。私達は事業計画と支払い計画を作成しました。場所が市街化調整区域です。500m圏内ある事業所からの意見書を貰えばOKというところまで揃えて検討委員会に提出。
「誰が最後に責任を取るの?堀間はあと15年先まで生きているのか?理事たちは責任取れるのか?」云々。職員達は希望に沸きこの新築の案に張り切っていたがここで潰されるとは・・・。そうこうしている内に現在の賃貸契約の期限を過ぎ、家賃がそれまでの倍額になり1年間の期限付き賃貸契約の締結。ここで私がコロナ感染。弱り目に祟り目、流石に精魂尽き果てたという感じですがここでへたばる事はできません。そこへ本物件は売れていないとの情報。移転に係る時間と経費、会員、職員・利用者達への負担と不安、移転はどれをとっても良い事はありません。

そこで、法務局から資料を取り寄せて1級建築士2名に現在の土地状況を調べてもらったら、事業所の土地には少ないが準商業地域が入り込んでいる。だから今の製造業も販売業も違法ではなく今のまま継続できると。では今の場所と本宅を含めて購入するといくらなのか?本宅は6年間空き家にしていたので、地下1階、地上3階の建物は雨漏り、空調不良、パネルヒター撤去の状態。この状態では改修工事は相当額掛かるが、先ず土地を手に入れると立ち退かずに済む。本宅は更地にして頂く事も可能かもしれない。都合良くいくとは思えないが、現在は双方が不動産業の専門家を入れて協議中です。
この2年間先の見えない混沌とした時間を過ごしてきましたが契約切れまであと9か月。
(NPO法人いわて高次脳機能障害友の会イーハトーヴ 理事長 堀間幸子)

◇報告

○2月14日に実施された会議の報告です
【令和6年度第2回高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会(高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業)】
1.開会あいさつ:国立障害者リハビリテーションセンター総長
2.高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業 運営方針及び施策の動向
厚生労働省・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長補佐より、支援普及事業の課題、対応の方向性、目指す姿について、調査・研究事業について、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムについてなど報告がありました。
3.「高次脳機能障害及びその関連障害に対する地域支援ネットワーク構築促進事業」の活用について、茨城県、愛知県、滋賀県からの報告がありました。
4.国立障害者リハビリテーションセンターからの情報提供・連絡事項等として以下の報告がありました。
(1)高次脳機能障害支援養成研修の実施状況等に関する調査について
(2)厚生労働科学研究「高次脳機能障害の診療に係る実態把握と課題の検討のための研究」(令和6-7年度)について
(3)高次脳機能障害情報・支援センターウェブサイト 高次脳機能障害相談窓口(都道府県)の掲載情報更新について
(4)令和7年度事業予定
3.質疑応答
4.閉会あいさつ 国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局長

【令和6年度第2回支援コーディネーター全国会議・シンポジウム】

1.開会あいさつ 
国立障害者リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター長
2.シンポジウム~当事者家族会との関わり、家族交流の支援について~
〇特定非営利活動法人 高次脳機能障がい友の会うつくしま
 元福島県高次脳機能障がい支援室支援コーディネーター 野本尚子氏
〇特定非営利活動法人 高次脳機能障害者支援「笑い太鼓」
 高次脳機能障害者サポートセンター笑い太鼓 施設長 加藤美由紀氏
3.グループ情報交換会
・支援拠点機関等と当事者家族会との関わり、家族交流の支援について
・その他の情報・意見交換
4.閉会
次年度の開催は第1回7月2日(水)、第2回2月13日(金)の予定です。

【所感】協議会において「高次脳機能障害及びその関連障害に対する地域支援ネットワーク構築促進事業」の活用についての報告が興味深かった。この予算を活用しての茨城県の取り組みは、「県内5地区に支援拠点として地域支援拠点病院を整備」「それぞれに配置されている院内Coが、高次脳機能障害支援センターと協働して病院などの地域の関係機関に訪問し、開拓を行う」「各拠点病院は地区研修会や連絡会を開催し、地域の社会資源のネットワーク構築を図っている」といった県内に5か所の拠点病院を据えた体制作りは、県リハビリセンターから移行した高次脳機能障害支援センターの人員配置(常勤6名、非常勤7名)も含めて目を見張るものがあった。
(脳損傷友の会コロポックル 内田 由貴子)

○前日本高次脳機能障害友の会顧問の小川喜道先生が2月1日にオンライン対談(小川喜道先生×栗原まな先生)に参加者あてに送ってくださったメールに、貴重な情報がたくさん載っていました。小川喜道先生にご了解いただき、今回のメール通信に転載させていただくことにしました。

*小川喜道先生は、数か月に一回ペースで紀伊國屋書店新宿本店にてオンライン対談を開催されています。

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オンライン対談に、お申込みいただいた方、ご参加いただきました方々へ

神奈川工科大学の小川です。

(対談を視聴していただいて、そのまま終わるには、もったいない参加者の方々、関心の非常に高い方々が参加してくださったことと、それでも、一部には情報が十分ではない方もいらしたので、あまりお役には立ちませんが、ちょっとした情報提供を致します。)

★初めて、栗原先生のことを知るという方がいらっしゃいましたので、以下のサイトをご参照ください。

★栗原まな先生が所属する神奈川リハビリテーション病院小児科の紹介サイト

小児科 |神奈川リハビリテーション病院

 (栗原先生は、小児科部長、重症心身障害児施設「七沢療育園」園長をしておりましたが、現在は非常勤医師として隔週で働いていらっしゃいます。)

(下記サイトには、臨床心理士のミニ知識の掲載、そして院内学級「かもめ学級」が栗原先生の監修の下でまとめた『小児の高次脳障害支援ガイドブック』(2014)が紹介されています(ダウンロード可。このガイドブックは神奈川県教育委員会や各地の関連団体からもダウンロードができる冊子となっています。対談にご参加の方々は、大半はご存じかと思いますが、情報をあまり持っていないという方に紹介してあげてください。)

★以下は、成人期向きの内容となりますが、お子さんの将来を考える上で参考になるかもしれません。そして、支援者・専門職向けになっていますが、どのような視点で仕事をしているのか、を家族として知るには、もしかするとよいかもしれません。わかりにくかったら、無視してください。

((以下、小川が関わらせてもらった日本損害保険協会研究助成(2016-18)で作成した発行物です。))

★高次脳機能障害支援コーディネーター 多職種連携支援・事例検討会・制度活用の手引き–地域リハビリテーション支援センター

「高次脳機能障害支援における多職種連携支援・事例検討会・制度活用の手引き」(2024.12.改訂)

 この手引きは、紙にプリントせずに、パソコンにダウンロードしたまま使用するとよいかもしれません。知りたい制度や知りたい事項について、巻末の索引用語をクリックすれば、そのページに飛びます。”神奈リハ”の瀧澤学・総合相談室長/高次脳機能障害支援コーディネーターさんが、絶えず、制度変更などあると改訂してくれています。昨年12月に加筆してくれています。

 高次脳機能障害支援コーディネーター用に業務遂行マニュアルとして作成しておりますが、とりわけ、学齢期を過ぎた場合に、知っておきたいことも多々あると思います。読んでみて、難しいと思ったら、支援コーディネーターに教えてもらうのがよいと思います。専門職に対して受け身ではなく、対等にお話することにもつながると思います。この手引きの作成に携わったのは、全国で優れた仕事をしている支援コーディネーター14名の方々ですが、今回のオンライン対談に7名もの方が参加してくださっています。こうして各地の拠点機関の方々も意識が高いですから、成人期に向かうお子さんをおもちの親御さんも、心配しすぎず、こうした方々に相談を持ちかけてください。

★高次脳機能障害がある方へのグループ訓練(手引き)–地域リハビリテーション支援センター

「高次脳機能障害がある方へのグループ訓練(手引き)」2023.3.

~神奈川リハビリテーション病院での実践に基づく提案~

 (PDF版、及び合成音声によるプレゼン動画)

地域の通所事業所等にて少しでも役に立たないかと神奈川リハ・リハ科職員総出で作った職員向け手引きですので、ちょっとむずかしいかもしれません。(あとがきは、小川が書いていて、神奈リハの昔話をしていますので、そこだけはわかりやすい!?です)。作成にあたってはでは、できるだけ専門用語を減らしてわかりやすく・・・とリハスタッフが心がけてくれたものです。でも、まだわかりにくい部分が多いかもしれません。ともかくも、日中支援に当たっている方には少し参考になるかもしれません。文字を読んでも頭に入らないという方には、音声と字幕によるプレゼン資料の説明がサイトに示してあるyoutubeで見ることができます。今後は、当事者、ご家族の理解を促すツールを作ろうとしていますので、そのうち、もっと役立つ”わかりやすい情報提供ツール”ができるかもしれません。首を長くして待っていてください。

~~~~~ 補足  ~~~~~

皆さんご存じのサイトを紹介させていただくだけですので、読み飛ばしてください。念のため情報提供致します。

国立障害者リハビリテーションセンター

高次脳機能障害情報・支援センター

高次脳機能障害に関するイベント情報

今回の対談にも国リハの方が2名参加してくださっていました。日本全体の高次脳機能障害支援の底上げに尽力されている国リハです。これからは研修制度も各地で独自に充実したものを実施していくことになっています。

その国リハのイベント情報サイトは、専門職対象ばかりではなく、ご家族も含めて広く参加を呼び掛けているイベントが多く掲載してくださっています。そして、オンライン視聴もできるように実施しているイベントも多くあります。

 国リハが紹介してくださっているイベント情報で、2024年5月~25年1月の9か月間の間に91件のイベントがありました。その中で、高次脳機能障害の小児について取り上げられているものが2件。1件は、交通事故被害者家族ネットワーク主催の「小児の高次脳機能障~回復と介護の現実~」では、橋本圭司先生、千葉リハ森戸さん、アトムの会などが報告されていてオンライン参加が可能でした。おそらく皆さんにも事前に情報が入っていたことと思いますが、能動的にこういう情報がつかめない方もいらっしゃると思いますので、ぜひ、周りの方に伝わるようにしていきたいですね。

 ちなみに、もう一つは支援者向けとして神奈川リハセンターの小児科部長、かもめ学級教員(病院内学級)等が講義、神奈川工科大ITエクステンションセンター(神奈川県厚木市)にて実施したものでした。

 今回のオンライン対談に参加してくださった家族等当事者の会は、脳損傷友の会コロポックルの本部、各支部(北海道)、高次脳機能障害友の会みずほ(愛知県)、友の会ぼちぼち(香川県)、翼の会・つばさジュニア(福岡県)、調布・ドリーム・ハイリハキッズ(東京都)、友の会ナナ(神奈川県)、脳外傷友の会三重TBIネットワーク(三重県)、高次脳機能障害サポートネットワーク(静岡県)、アトムの会(東京・神奈川他)・友の会あすか(奈良県)、いたばし高次脳機能障がい家族会(東京都)、みなと高次脳(東京都)、高次脳機能障害をもつ子どもと家族の会よりよりホームズ(長崎県)などでした。全国の各都道府県にほぼ当事者・家族の会がありますが、小児の高次脳機能障害に関する情報は、福祉分野以上に、療育・初等中等教育に関わる課題も多いので、今回ご参加くださった皆様の地域でも、そうした必要な情報にアクセスできる手立てをご検討いただければよいと思っております。小学校中学校は市町村が管轄し、高校は都道府県が管轄し、大学は文科省が管轄するような形なので、働きかける策も異なることになります。まだまだ、施策は十分ではないので、当事者のお力、支援者のお力が結び付いて動いていくことが大事だと思います。

特定非営利活動法人「日本高次脳機能障害友の会」ホームページにようこそ! |日本高次脳機能障害友の会

◇お知らせ

○令和7年度日本高次脳機能障害友の会総会
総会日時:令和7年5月18日(日)13時~
開催方法:対面開催
開催場所:JA共済ビルカンファレンスホール(東京都千代田区平河町2-7-9 JA共済ビル 1F)
・運営会員の皆さまへの議案書と委任状の送付は5月上旬頃を予定しております。
・総会に出席できない方は委任状の返送を何卒よろしくお願いいたします。
・準会員の皆さまは総会にオブザーバーとして参加していただくことができます。
ご多忙中大変恐縮ではございますが、ご出席くださいますようご案内致します。

○⽇本⾼次脳機能障害友の会第21回全国⼤会2025 in福井 (添付資料①)
会期:令和7年10月3日(金)・4日(土)
会場:福井県県民ホールAOSSA8階(福井県福井市手寄1丁目4-1 アオッサ8F)
大会テーマ:「感謝を心に、つながる・つなげる支援の輪 ~想いを語ろう、想いを聴こう~」

〇「CHANCE&CHALLENGE」クロスジョブ設立15周年記念イベント※現地開催のみ (添付資料②)
開催日時:令和7年6月15日(日)13:00-16:00
開催場所:国際障害者交流センタービッグ・アイ(多目的ホール)
「障害があるから企業で働くことを諦めました。」こんなフレーズが生まれない社会にしていきたいという思いで15年歩んできました。
今回は高次脳機能障害に特化したイベントではありませんが、以下の企画では高次脳機能障害のある方々が登壇するそうです。
■プレ企画 10年継続就労の方々の表彰式(10:00-12:00)
■特別企画 企業で活躍する仲間たち(14:00-14:30)
10年継続就労を達成された方を代表してお二人の方にご登壇いただきます。
うちお一人からは、高次脳機能障害と向き合いながら働く日々について、率直にお話しいただく予定です。また、当日の16:00頃より高次脳機能障害の当事者、ご家族、支援者の方々との茶話会(もしくは小宴会)の企画も計画中とのことです。

◇書籍紹介

○『高次脳機能障害と社会的支援』-「高次脳機能障害支援法」制定への提言-
著者:山口研一郎(緑風出版 2,500円+税)
高次脳機能障害者は時代のカナリア?
時期を得た力作です。高次脳機能障害(以下同障害と記す)者や家族よりも熱い熱量をもって書かれた一冊でした。同障害は医療と福祉だけでは救われない、というのが山口先生のお考えです。では、何が必要なのか。社会的支援が必要であるという事実が解き明かされています。
1963年の、高次脳機能障害と同じ障害がでた三井炭鉱粉じん爆発事故の社会的背景は?
高度成長期からの生産性重視の社会的背景は、同障害にどう影響を続けているのか?
現代の人間関係の希薄さは、同障害者のコミュニケーション機能低下と関りはないのか?
IT、AI重視で人権軽視は、障害者虐待とつながっているのでは?
自動車事故による同障害は、車の大量生産による結果では?
脳の病気による同障害も、過労によるのでは?
等々連想される事例が多数示されています。グローバルな視点を取り入れた高次脳機能障害支援法の早期実現を願わずにいられません。同障害こそ炭鉱のカナリアならず、時代のカナリアという指摘に、思わず「全く」とうなづいてしまいました。
24年間に約1400名の臨床体験と、重いお忙しい日々の中で執筆をし、いろいろな学会で発表し、講演をして全国を巡り、報道機関にも物申す山口先生に「おん身もお大切に」とエールを送りたい。          (脳損傷友の会コロポックル 篠原 節)

○高次脳機能障害『生かされて生きて』 (添付資料③)
新婚1年目の長男は交通事故で数日間意識不明、脳挫傷脊椎損傷により生死をさまよったが、奇跡的に命は助かり、懸命なリハビリや治療により会話ができ歩けるまでに回復。しかし家族の喜びと安堵は束の間、様子や行動がおかしい…。5ヵ月間の入院を経て退院できたものの、高次脳機能障害と診断された長男と家族の本当の闘いが始まった。

◇家族会紹介 ~脳外傷友の会コロポックル道南
         
 全国の皆様 こんにちは。 
 脳外傷友の会コロポックル道南は、観光の町として有名な函館の西部地区に拠点を置き、今年で、設立から23年目に入ります。明るくて頼りがいのある村上峯子代表を中心に、函館市・黒松内町・長万部町・八雲町・森町・北斗市・七飯町・松前町・江差町・乙部町・厚沢部町の渡島・檜山管内に暮らす、当事者・家族会員が50家族と賛助会員80名で構成されています。
 家族会の主な活動は、例会の開催、リハビリテーション講習会の開催等で高次脳機能障害を学ぶ活動をはじめ、家族交流会などの当事者家族のつながりを深める活動、毎月開催する函館相談会と毎年8月から10月にかけて、渡島・檜山・八雲振興局の後援を受け各地域での相談会を開催しています。また、地域の方たちとの交流を通し啓蒙活動としてバザーやひな祭り歌声喫茶を開催しています。そして、NPO法人就労継続支援B型事業所 [コロポックルはこだて] の支援も大切な活動となっています。

分かり合える仲間がいる安心感
 私たちの楽しみにしている交流会の一つに、恒例行事の新年家族交流会があります。今年は2月に開催しました。毎年多くの当事者や家族が集まります。家族会の役員以外の家族も実行委員に参加し企画運営までを担ってくれます。今年は26名が会場に集い、今年の抱負を発表したり、毎年家族会の方が考え準備してくれるゲームは、いつも白熱したくさんの笑いが生まれます。みなさんは、実行委員が決めたグループに分かれてそれぞれ協力し合いながらゲームを楽しみました。恒例のビンゴ大会も大盛り上がりです。最後は美味しいお弁当を食べながら歓談しました。1年振りに会う家族の方や当事者の方たちの笑い声が溢れる楽しいひと時は今年もあっという間に終わりました。離れた場所で暮らし頻繁には会えない当事者や家族もたくさんいます。生活の中で、時には不安になったり、これでいいのだろうか?と一人で考え込んでしまい孤独を感じることがあると思います。家族会では、交流会以外に年に1度、八雲町や江差町での家族交流会を開催し近況や悩みを共有する時間や函館で開催する茶話会など、当事者家族が集まる時間を設けています。日常の忙しさから離れ、楽しい時間を過ごし、言葉を交わすほんの少しの時間が「一人じゃないんだ」という思いに繋がり、お互いに勇気や元気を分け合い、わかり合える仲間がいる安心感を持てたらという願いを持っています。
私自身、24年前に息子が交通事故に遭い、高次脳機能障害を負いました。当時16歳
でした。退院したらすべて元通りになると信じていましたが、日ごとに障害の重さを痛感し困惑していました。その頃にコロポックルの存在を知り、藁にもすがる思いで息子とともに訪ねました。函館市総合福祉センターの和室に当事者家族が集い、悩みや困り事などを共有し、お互いの体験を元に励まし合ったり、高次脳機能障害についての勉強会を開催するような小さな集まりに参加し、先輩の家族の方たちのお話を聞き、救われました。当時2か月毎に開催されていた例会には、札幌から中野さんと篠原さんが欠かさず来てくださり、受傷して間もない家族たちを助け支えてくださったことを昨日のように思い出します。

行政と連携して相談会を開催
毎月続けている函館相談会や、毎年8月から10月にかけては渡島管内と檜山管内で行政からの後援を受け、協同し相談会を行っています。渡島地区6ヶ所(昨年度は、北斗市・七飯町・森町・木古内町・せたな町)、檜山地区1か所(江差町)にて実施しています。日常的に、作業所でも相談を受け付けています。開催する相談会には、受傷して間もない家族や当事者が不安を抱えて相談に来られます。
 渡島・檜山での相談会には、家族の立場でお話を聞く家族会役員以外に、行政的な手続きや仕組みなどの相談に乗ってくださる渡島・檜山・八雲振興局の保健師さんと地域で活動されている町の保健師さんが同席してくれます。そうすることで、当事者家族が地元の保健師さんと繋がり、困った時に相談出来たり、訪問してくれるという関係性が出来ます。また、高次脳機能障害の検査、診断を受けたいという場合には、コロポックルの顧問をしてくださっている医師へ繋ぎ診断を受け、福祉制度の利用へと進めていきます。このように家族会では担えない医療や福祉制度の相談に対し、専門職の方々との連携が取れていることで、不安を抱え相談に来られる当事者家族を知るきっかけになり、当事者を取り巻く支援の輪が広がることを感じています。
  最後になりますが、昨年6月、全道のコロポックルの家族会が集まる全道交流会の場で、『なぜコロポックル家族会を続けているのか?』という話し合いがなされる場面がありました。そこに参加した全員で考え、家族会との出会いや、思いを一人ずつ話す時間がありました。役員や家族会の人数が減る傾向にある現状なども上がりましたが、その現実を上回るほどの思いが語られました。初めて家族会の参加した時の気持ちを一人一人が想起し語られたのは「助けられた」「中野さんや篠原さんの熱意に自分も頑張ろうと思った」「いろんな人との出会いがあった」「一人ではないと励まされた」等ポジティブな思いでした。忘れ物を見つけたような気付きが与えられた時間でした。
私たちがコロポックルに出会い励まされたように、新しく出会う方々を励ますことが出来るような関わりが持てるよう、コロポックル道南支部の 『一人はみんなのために、みんなは一人のために、踏み出そう明日のために』 という合言葉を忘れずに、全国・全道の仲間の方々と連携を取りながら活動を進めていきたいと思っています。
函館にお越しの際には、コロポックル道南支部とコロポックルはこだてに是非お立ち寄りください。
(コロポックル道南 家族会役員 新谷 美佳子)
                                  
■日本高次脳機能障害友の会メール通信の編集は、理事 内田由貴子(脳損傷友の会コロポックル副代表)が担当しています。高次脳機能障害のニュース、各地の家族会の活動、情報などをお寄せください。(E-mail:koropokkuru@mail.goo.ne.jp)

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NPO法人 日本高次脳機能障害友の会
〒780-8014 高知県 高知市 塩屋崎町2丁目12-42 
TEL:088-803-4100  FAX:088-803-4420
事務局 岡村 忠弘
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