2023年4月20日
日本高次脳機能障害友の会より メール通信No.1

NPO法人 日本高次脳機能障害友の会より、
「2023年度メール通信No.1」が届きましたので、転載します。


全国のみなさま
 
◇理事だより
  花々も咲き気持ちが明るくなる季節となりました。 3月下旬の夏日には桜のつぼみも一気に膨らみ、あっという間に満開となりました。今年はコロナ下での行動制限が緩和されたこともあり、名古屋市内の公園ではかなり多くの人でにぎわいました。みずほ・ワークハウスみかんやまもご多分に漏れずお花見会を決行し、久々の集合写真には皆さん満面の笑顔で映っていました。
 
さて、愛知県では国交省から募集のありました社会復帰促進事業を、名古屋市総合リハビリテーションセンターが受託されました。
①ネットワーク構築支援事業では、退院前に高次脳機能障害および自立訓練の利用の意義を認識してもらえない方を対象に「退院後フォローアップ支援」の契約を行い、定期的に連絡することになります。支援機関に繋がらなくて孤立してしまいタイムリーな支援が遅れることを防ぐといった目的で、急性期病院1カ所と回復期病院4カ所が連携されスタートしています。②自立支援提供支援事業ではセラピストによるグループワークを強化③地域連携支援事業においては、研修・広報ツールの作成が強化され、高次脳の評価に関する研修会も実施。と伺っています。
家族相談会を行っている中で、何年・何十年前の受傷歴があるものの、この障害名を知らなかった、知らされていなかったという取り残された方がまだまだあることに気づかされます。一方で、当事者・家族は受傷直後には「大変なことになったと思っていても、ここまで回復できていれば何ら問題ないと思いたい」という気持ちもあったりしたとの声もお聴きしますので、このシステムがしっかりと根付くことを期待したいと思います。
併せて、令和5年度は愛知県から受託の地域支援ネットワーク構築促進事業も、①社会性生活力向上事業 ②ネットワーク強化事業 ③情報充実化事業として三つの柱(今後、名称変更予定)でスタートします。先日家族交流会の場で、親御さんが入院することにより、当事者がメンタル的に不安定になってしまっていたとの話題には、「地元居住地でのサポート体制が、更に整備されることを早期にお願いしたい」と話されていました。
 
最後に、新しい年度の始まりでみなさまの家族会では事業計画等々の作成でお忙しくされていることでしょう。みずほでも、各種行事や啓もう活動も対面で行っていくことを話し合っているところです。 各地の情報提供、どうぞよろしくお願いいたします。
(NPO法人高次脳機能障害友の会みずほ 副理事長 河田幹子)
            
◇報告
○高次脳機能障害サポートネット広島について
昨年7月にNPO法人高次脳機能障害サポートネット広島が閉鎖されました。この4月から新しい法人が引き継いで事業を継続することになったとの報告を受けました。一年間は前理事長の濱田小夜子さんが継続して事業所の代表を務められるとのことです。以下に高次脳機能障害サポートネット広島から届いたお知らせを掲載します。
 
謹啓
春陽の候、ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
私義、NPO法人高次脳機能障害サポートネットひろしまの設立以来19年、皆様のご支援ご指導のもと、理事長を務めさせていただいてまいりましたが、NPO法人の解散、および一般社団法人めぐみへの吸収にともない、NPO法人理事長を退くこととなりました。これにともない、高次脳機能障害サポートネットの所属する法人の代表は、一般社団法人めぐみ 代表理事 上田美幸となります。今後高次脳機能障害支援を継続するには、安定した組織による支えが必要と判断し、本年3月31日をもって。「NPO法人高次脳機能障害サポートネットひろしま」を解散、4月1日からは「一般社団法人 めぐみ 高次脳機能障害サポートネットひろしま」として活動することを決定しました。悩み続けてまいりましたが、非常に良い形で将来へと繋がる形となり、安堵しております。
今後とも、一般社団法人めぐみのもとで、私も高次脳機能障害支援に尽力してまいります。何とぞ、変わらぬご支援ご指導を賜りますようお願いいたします。
まずは、書中にてご挨拶申し上げます。 謹白

令和5年3月吉日 
NPO法人高次脳機能障害サポートネットひろしま
理事長 濵田 小夜子
 
令和5年4月吉日 
一般社団法人 めぐみ 高次脳機能障害サポートネットひろしま
代表 濵田 小夜子
 
○2月17日に実施された会議の報告です
【令和4年度 第2回高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会(高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業)】
1.開会あいさつ:国立障害者リハビリテーションセンター 総長
2.各ブロック会議検討課題等への質疑応答
相談支援、支援体制、支援体制の強化・検討、医療との連携、ピアサポート、自動車運転、就労支援、小児の高次脳機能障害、普及啓発、について質問自治体と回答自治体を中心とした意見交換が行われました。また、富山リハの小児科医倉本医師より、小児におけるコロナ罹患後に分離不安や適応障害等の精神疾患様の症状が見られることもがいることについて情報提供がされました。
3.厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業 運営方針及び施策の動向
新規事業の継続性について、何年継続できるかは定まっていない旨の説明がありました。また、2022年度診療報酬改定で療養生活継続支援加算が計上されたが精神科医療が対象となること、入退院支援加算において連携機関が相談支援事業所とされるため障害福祉サービスの通所施設にも対象を広げてほしい旨の意見がありました。
「にも包括(精神障害にも対応した地域包括ケアシステム)」について、図に高次脳機能障害支援拠点機関も明示してほしい旨の意見も出されました。
診断基準再策定に際して、高次脳機能障害実態調査実施の希望があったが、R4年度に生活しづらさ実態調査が行われ、R5年度にまとめ、R6年度上旬に公表されるとのことでした。
4.高次脳機能障害情報・支援センター:ウェブサイトの改修について国立障害者リハビリテーションセンター
5.質疑応答
6.閉会あいさつ:国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局長
 
【令和4年度 第2回支援コーディネーター全国会議・シンポジウム】
1.開会:国立障害者リハビリテーションセンター
     高次脳機能障害情報・支援センター長
2.講演「小児期の高次脳機能障害への支援」
     帝京平成大学健康メディカル学部言語聴覚学科 講師 廣瀬 綾奈 氏
3.シンポジウム ~小児の高次脳機能障害に関する家族支援について~
  ① 家族(きょうだい)支援・当事者家族会の活動について
     札幌国際大学人文学部心理学科 教授 青木 美和子 氏
  ② 家族会の活動について 
     高次脳機能障害の子どもを持つ家族の会 ハイリハキッズ 代表 中村 千穂 氏
  ③ 長崎県における小児高次脳機能障害支援について 
     長崎県長崎こども・女性・障害者支援センター 
     長崎県高次脳機能障害支援センター 太田尾 有美 氏
  ④ 意見交換
次年度の開催は6/28(水)の予定です。
 
【所感】
高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会にて、新規事業となる「高次脳機能障害およびその関連障害に対する地域支援ネットワーク構築促進事業(地域生活支援促進事業)」について報告されました。予算額は1.5億円ですが、今後の継続性は不透明とのことで、どの程度活用されるのか、各都道府県で検討していく必要性を考えました。
支援コーディネーター全国会議は、小児高次脳機能障害に関する講演とシンポジウムが開催されました。小児高次脳機能障害への支援のみならず、家族兄弟支援が要されるが、家族会等を立ち上げるのみではなく、子どもが育つことで会員が退会してく等の課題もあり、継続していくことの困難さについて意見交換がされました。
(神奈川県総合リハビリテーション事業団 瀧澤 学)
 
 
◇お知らせ
○令和5年度日本高次脳機能障害友の会総会の日時が決定
先日の理事会におきまして、「令和5年度日本高次脳機能障害友の会総会」の日時が決定いたしました。各会員の皆様には書面でも送付予定ですが、令和5年5月20日(土)13:00に開催いたします。総会では、前回のメール通信でもお伝えはしておりますが、改めて高次脳機能障害者支援法の進捗状況のご報告に加え、会費や全国大会に関することを議題として取り上げ、皆さんのご意見を頂けたらと考えております。ご参加のほど何卒よろしくお願いいたします。
(日本高次脳機能障害友の会理事長 片岡保憲)
 
○国立障害者リハビリテーションセンター高次脳機能障害情報・支援センターのホームページ、高次脳機能障害相談窓口のページがリニューアルされました。
http://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/soudan/
 
◇書籍紹介
○高次脳機能障害の勃興と将来展望
著 : 中島八十一氏(長野保健医療大学 副学長)
発行:新興医学出版社 1980円(税込)
 
中島先生は国立リハビリテーションセンター研究部長として、モデル事業立ち上げに関わられたお一人である。中島先生は、この本で、高次脳機能障害モデル事業が開始される経緯、その後に行われた調査・研究による高次脳機能障害に関する施策の進展、そして、今現在残っている課題を記載している。最後を「家族会活動のこれから」という章で締めくくられており、まさに「家族会活動のこれから」を考えている私たちにとって、日本における高次脳機能障害の歴史を学び、今を、そしてこれからを考える参考書である。
特に、高次脳機能障害支援モデル事業開始にまつわる経過における家族会の活動、国会でなされた質問とそれに対する答弁がそのまま記載されており、それを知っておくことが、高次脳機能障害支援法(案)の成立を強く願う現在、家族会としての今後の活動を考えるうえで極めて重要だと思われた。      
(日本高次脳機能障害友の会顧問 山口加代子)
 
 
◇家族会紹介
1997年12月、息子がオートバイ事故で高次脳機能障害になりました。1999年リハビリの場を求めて息子と一緒に色々な所に参加しました。「脳外傷友の会ナナ」や「若い失語症者のつどい(東京版)で当事者の方達が主体的に活動される姿を見て勇気づけられ、またアメリカのベン・イーシャイ教授とプルゲターノ博士の講演を直に聞いて、高次脳機能障害はリハビリで改善される確信を持つ。更に北海道『浦川べてるの家』を見学。精神障害の方達が「3度の飯よりミーティング」を大切にしていることや、様々な仕事の仕方も共感した。最後に横浜で、トマシーナ・ボークマンさんのセルフヘルプ理解セミナー「分かち合いから生まれる体験的知識」~いま、アメリカでは~に参加してセルフヘルプグループの理解や運営の心構えを学び、2002年2月に調布市福祉センターにおいて「高次脳機能障害者のつどい調布ドリーム」を、息子と共に立ち上げました。
参加可能な家族も一緒のグループリハビリは、卓球、認知リハ、音楽、SSTから始まり、月一回の、定例会、料理、絵を描こう、編物、カラオケ、工作、ドリームラボ、映画鑑賞、絵手紙、ゲームと少しずつ増え、場所は福祉センターや市民体育館、地域公民館などを利用。毎週火・金・日の午後1時~5時に2つのプログラムを行う中で。これらの脳のリハビリや、コミュニケーションを通して、トレイ二―や家族だけでなく、専門家やボランティアの方も、それぞれが高次脳機能障害に向かって、自分の可能性にトライしていました。年に3-4回の各地域の福祉イベントへの出店では、お汁粉や作品の販売。またステージの体験発表では障害の啓発を目指し、音楽発表は練習の成果を皆で実感できました。この様な多彩なプログラムがあることで、得意不得意があることも、認め合い、助け合う、良い機会になりました。また年に1-2回の激安一泊旅行もミーティングを重ね下準備と心構えをして社会に触れ合うチャンスを楽しみました。
2006年1月からドリームサロンを新たに4カ月毎に開催、地域や医師会などにチラシを届け、高次脳機能障害の理解を呼びかけました。2006年頃、そろそろ就労を考えるようになった時、東京障害者職業能力開発校に2007年1月に2人が受験・合格しましたが、精神障害者手帳のみ取得のトレイニーには受験資格がなかった。2007年8月TKK(東京高次脳機能障害協議会)の東京都への要望書に、高次脳機能障害者も受験できるよう要望したことで、2009年1月には今迄受験できなかった2人が受験し合格。そして東京障害者職業センター経由で就労するトレイニーや、東京都心身障害者福祉センターの社会生活評価プログラム等において通所や評価を受けたり、幕張の障害者職業総合センターに入所して就労に向かうなど、就労希望のトレイニーに道を拓くことが出来ていきました。
2010年12月法人格を取得。2011年4月に自立(生活)訓練事業において、これまでのグループリハビリを継承。また家族会が法人の傘下で発足。2013年4月に就労継続B型事業を追加。2019年に現在の2階建て新築事業所に移転、定員を各事業10名から20名に拡大して、既に5年目に入っています。私は3年前から施設長を降り、現在は横田施設長が頑張ってくれております。
(NPO法人高次脳機能障がい者活動センター調布ドリーム 理事長 吉岡千鶴子)
 
『調布ドリーム家族会の活動』
「こんにちはー!!」「あらー久しぶり!!」日曜日の昼下がり、家族会は賑やかなこんな声で始まる。家族会のメンバーは、状況も年齢も新人さんもベテランさんもいろいろだ。心の中にある誰にも言えない不安や悩みや、苦情やモヤモヤをみんなこの場で吐き出す。高次脳あるあるも「うちもそうだったわー」「心配しなくて大丈夫!!」介護の先輩が言う言葉は、安心感と説得力の固まりだ。何か困った事が起きた時は、みんなで必死で知恵を出し合う。「ケアギバーのための10か条」の中の「あなた自身の人生を大切にしましょう」は、私たちの心得のひとつ。だから、「旅行」やら「フリマ」やら「水泳教室」やら「ランチ会」やら、次から次に楽しいイベントを考え実行するのも私たちの家族会なのだ。
大切な人が高次脳にならなければ絶対に出会わなかった。でも、出会えてよかった。互いに支え合い、家族の傷ついた心のリハビリを少しずつ、これからも続いていく。
(調布ドリーム家族会会長 山田 伸子)
 
『調布ドリーム事業所の活動』
 当事業所『特定非営利活動法人 高次脳機能障がい者活動センター 調布ドリーム』は、
2002年2月に『高次脳機能障がい者のつどい調布ドリーム』として自主グループから始まりました。その頃より、“ひとりのリハビリはつまらなくても、皆でやれば楽しくなる”をモットーとして現在も活動しております。
 同じような辛い思いを持つ仲間同士の取り組みは、互いのエンパワメントを高め、そこから本人も気付かなかったストレングスを引き出していく効果を長年の活動を通して感じております。
グループでのリハビリは、現在も事業所として力を入れております。
更に集団の中での個別対応を行っており、ご本人のペースを大切にし、これまでのご本人の経験を生かし、そこから見出される希望や今後の目標に応じて、共に相談し考えながら課題提供をしております。その課題に対し、根気よく継続して取り組める様、個別面談を重ねサポートしております。
『高次脳機能障がい』は、視覚化されない症状も多くある事から、周囲に理解されにくく、ひとりで悩んでおられる方がとても多い事を私たち職員は日々感じております。
「ひとりではない、孤独ではない」・・・
調布ドリームとの出会いが、再出発のきっかけになればと、私たちスタッフはお待ちしております。
(高次脳機能障がい者活動センター調布ドリーム 施設長 横田)

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NPO法人 日本高次脳機能障害友の会
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事務局 岡村 忠弘
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