2023年6月19日
NPO法人 日本高次脳機能障害友の会より

NPO法人 日本高次脳機能障害友の会より「2023年度メール通信No.2」が
送られてきましたので転載します。添付資料等をご覧になりたい方は
稲毛までご連絡ください。


全国のみなさま
 
◇理事だより
日本高次脳機能障害友の会総会が開催されました(5月20日(土)13:00~ZOOMによるオンライン)総会で話し合われたことをご報告します。
〇運営会員数20名中19名が出席し(オンライン会議出席者16名、委任状提出3名、欠席1名)総会が成立、活動報告、活動予定などが審議され、了承されました。
 
〇運営会員の会費について次の通り変更の提案があり、了承されました。
現 行  運営会員(団体) 構成員数(当事者)×300円
変更後  運営会員(団体) 構成員数100名以上の団体は20,000円
              構成員数100名未満の団体は12,000円
*会員が少人数の運営会員会費が、準会員、賛助会員(団体)会費10,000円を下回る場合があるため変更を提案。
 
〇全国大会の持ち回り制について
全国大会は、福島県→福井県→新潟県で開催することが決定しています。今後は1県が終了するごとに、挙手制(立候補)もしくは、推薦制で開催地を決定します。ブロック単位での開催も視野に入れていきます。
*変更の理由:運営会員へ入会をためらう原因のひとつになっていた。運営会員団体は全国大会を開催しなくてはならないというルールを変更し運営会員の増加を目指す。
 
○その他
①2023年の福島大会は来年に持ち越され、今年は10月1日に東京で高次脳機能障害支援法制定をめざす大会を開催することが了承されました。
②持ち回りで宿泊型の研修を行ってきたキッズネットワークは、11月19日(日)に東京で日帰りの研修会を開催する予定で準備しているとの報告がありました。
以上が総会の報告です。
 
コロナ禍で日本高次脳機能障害友の会の総会は書面やオンラインで実施されてきました。全国から参集するのにお金も時間もかかっていましたが、それが要らなくなった反面、休憩時間にしていた各地の情報交換が出来なくなりました。会議の中でわざわざ発言しないけど、こんなことで困っている、こんな講演会をやってみたいが誰かに講師をお願いできないかといった雑談の中から発展していくことが生まれにくくなっている感じがします。
今年は福島での全国大会に代わって、東京で対面の大会(10月1日)が開催されます。たくさんの皆さんにお集まりいただけますように、そして待ちに待った交流もできますように楽しみにしています。 
(脳損傷友の会コロポックル 副代表 内田 由貴子)
 
◇報告
○6月7日に当会顧問の渡邊修先生とともに、参議院議員会館にお伺いし、「公明党高次脳機能障害等支援対策プロジェクトチーム」に対して高次脳機能障害者支援法の制定に関する要望をしてまいりました。公明党の山本博司先生(PT座長)からは、「法整備に向けてしっかり取り組んでいく」と力強いお言葉をいただきましたのでご報告申し上げます。
(NPO法人日本高次脳機能障害友の会 理事長 片岡保憲)
 
○就任ご挨拶及びMさん裁判についてご報告
この度「NPO法人高次脳機能障害友の会みずほ」の理事長に就任いたしました、長谷川潤と申します。私の高次脳機能障害との関わりは、22年前に息子がスポーツ事故により当事者となったことから始まりました。その後息子、妻がみずほの会員となりましたが、私自身は現役のサラリーマンであったこともあり、数回イベントに参加はしたものの、深く関与はしておりませんでした。縁あって今年度からみずほ理事長という役職を仰せつかりましたが、NPO法人運営の経験、知見ともに乏しく、甚だ心許無い状態です。
日本高次脳機能障害友の会の皆様方には、是非ご指導をよろしくお願い申し上げます。
 
さて当会会員のMさんが、特例子会社の合理的配慮義務違反、パワハラについて、名古屋高裁に控訴していた裁判が、3月ほぼMさんの主張を認める内容で、和解が成立致しました。Mさんは13歳で交通事故により高次脳機能障害となり、その後高校卒業後一般企業の就職を経て、今回の被控訴人である特例子会社へ就職いたしました。当初は当該会社もMさんの障害特性を理解し、様々な配慮を行い、Mさんも順調に働いておりました。しかし数年後経営者が変わり、Mさんの理解者であった経営幹部数名が退社すると、それまでの合理的配慮を「特別扱い」「Mさんのわがまま」とみなし、必要な配慮を行わなくなり、その結果Mさんはやむなく退社しました。その後Mさんは労働審判を申し立て、不成立により岐阜地裁に提訴、昨年8月請求を棄却されたため、名古屋高裁に控訴していました。
労働審判、一審ともに和解金の支払いの和解案を提示していましたが、いずれも口外禁止条項が付いており、Mさんの「多くの障害者は自分で働き、自立したいと思っており、特例子会社は数少ない働く場所であるにも拘らずこのような事態が発生した。どのように解決したかを明らかにすることは、今後障害のある人の雇用の在り方のために重要である」との考えから、労働審判、一審の和解案を拒否していました。今回の名古屋高裁の和解案では、口外禁止条項は無く、それにより本件の経緯や和解内容の意義を、広く世間一般に知らしめることが可能となっています。
今回の和解案の画期的な点は、被控訴人会社に対し、①障害に対する正しい知識の習得や障害者との話し合い、記録化及びその検証等により障害の特性に関する理解を深め、その特性に配慮した必要な措置を講ずるなど当該者がその有する能力を発揮するうえで支障となっている事情を改善すること②その他厚生労働省策定の合理的配慮方針に沿った合理的な配慮が円滑に行われるよう、組織的な職場改善に努めること、と将来に向けての改善条項を求めていることです。
 今回の和解案は「自分の能力を最大限生かすための合理的配慮」は、堂々と求めて良いと言う前例になりうると思います。この前例をどのように活用し、広めていくか。高次脳機能障害に係る団体運営に携わるものとして、重い課題を突き付けられたように思っています。
(NPO法人高次脳機能障害友の会みずほ理事長 長谷川 潤)
 
◇お知らせ
○令和5年度第1回高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会
主催:国立障害者リハビリテーションセンター
日時:令和5年6月28日(水)10:00~12:00
方法:Web開催(Zoom)
対象:高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会委員※その他の方の傍聴申込可。
申込は令和5年5月22日(月)まででした。
 
○令和5年度第1回高次脳機能障害支援コーディネーター全国会議
主催:国立障害者リハビリテーションセンター
日時:令和5年6月28日(水)13:00~16:00
方法:Web開催(Zoom)
対象:高次脳機能障害支援拠点機関に所属する支援コーディネーター
※その他の方の傍聴申込可。 申込は令和5年5月22日(月)まででした。
http://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/event/参照
 
○「親なきあと」相談室ネットワーク、研修会
日時:2023年8月2日(水)10:00~12:00
方法::Web開催(Zoom)資料③
問い合わせ:「親なきあと」相談室ネットワーク 代表 渡部 伸氏
 
◇家族会紹介
富山の初代「高志」会長Yさんは、ご長男が平成3年、31歳の時にバイク事故にて脳損傷。1年間の入院、入院中より時折乱気流のような不適応行動(暴言・暴力・感情爆発)が現れ、現在も度々よく似た状態が現れます。今後の日常生活指導もなく、命が助かり何とか歩けるようになっただけでも十分、と言わんばかりに、厄介者のようにほぼ強制的な退院となりました。
家庭の中でも、直ぐ親や周囲を頼る、些細な事で大声を出して暴れるなど、5歳の幼児と15歳の反抗期の子供と年齢相応のいっぱしの理屈を言う若者が同居している状態でした。年老いた親は、限界を感じました。
  平成11年に放送された「見えない障害・脳外傷」で今までの疑問がようやく解けました。
テレビ番組を機に、名古屋での日本脳外傷交流セミナーに参加し、富山県でも脳外傷友の会設立の必要性を感じ、何社ものマスコミを通じて会員を募り活動を開始しました。
 
○平成19年1月富山県高次脳機能障害支援センター開設(富山県リハビリテーション病院・こども支援センター内)
以後、高次脳機能障害者のケアマネジメントが行われるようになりました。
しかしながら、何といっても、当事者・家族が体験を共有しながらアドバイスをしたり、さまざまな情報を提供しあい、勉強会や交流会を通して仲間同士の支え合いが私たちの足元を変えていくきっかけになっているように思います。
今まで、自宅での電話相談など数多く、支援センターに繋ぐ役割を行ってきました。また支援センターが開催している家族会教室(年6回)でも、講義の内容より当事者・家族間の意見交換や、経験談で時間が足りなくなるほどです。
 
○平成24年9月28(金)・29日(土)には富山県にて「日本高次脳機能友の会第12回全国大会inとやま」が開催されました。
私たちは、会発足当初から啓発活動で取り組んできた、小児高次脳機能障がい児への理解と適切な対応を求め、講演会を実施し、その普及に努力してきました。「小児高次脳機能障害への理解を広める行政指導を実施してください。」「発達障害児の中にうずもれている小児高次脳機能障害の実態を明らかにし、適切な対応をすすめるよう要請します。私達は、講習会等を実施し、その普及に努力していますが教育関係の参加者は少なく危機感を抱いています。関係官庁でも連携の上、対策をお願いします。」と大会アピールを宣言しました。

○平成28年9月第3回(全国)キッズネットワーク宿泊イベント㏌富山を開催しました。若い親御さんたちの、熱い発言・これからの不安など涙が止まらない状態には、切羽詰まる思いがひしひしと伝わりました。
 
○平成25年度から、支援センターの協力の下、ピアカウセリングを開始しました。
目的:同じ立場の理解や共感がある場で語り、状況の整理と家庭内だけでの抱え込みや孤独感を防ぐこと。
実績:月1~3名
当事者・家族であることで、自分の思いを話し、少し気持ちもすっきりされて帰られるように思われます。
しかしながら、当事者と家族との間には、かなりのズレ?と何かかみ合わない溝があるように感じることも度々あります。
精神障害者ピアサポート研修を、県が精神保健福祉士協会に委託され行っています。令和2年度より、高次脳機能障害領域でも、研修に参加してみたい、と当事者の希望と適応など、高次脳機能障害支援センターの協力のもと毎年数名が研修に参加されています。ピア・フレンズ認定証交付された方が中心になり、令和3年度には、当事者会(エイト(∞))がスタートできました。(年4回)手応えもあり今後も会員を増やし継続出来ればと思っています。
 
長引くコロナ禍での活動は、電話相談・オンライン形式での講演会や勉強会が主流になっている昨今、当事者にとっては、外出できる範囲が限られています。
しかし、長年にわたり地道に活動している、手作り石鹸・黒ニンニク作りなどは、月2~3回自分らしく振舞われる場所は必要と思って続行しています。
今年度からは、行動制限も緩和され、全国大会での交流会や開催地周辺の観光を楽しみに待っている当事者・家族も大勢います。又、対面での行事が多くなればと思っています。
(特定非営利活動法人脳外傷友の会高志 理事長 山 加代子)
 
◇当事者活動紹介
かけはしプロジェクト代表の北島麻衣子です。徳島県に住んでいます。個人活動だけでなく、徳島高次脳機能障がい家族会「すだち」で事務局員も務めさせていただいています。
私は20代半ば、2人目の子どもを妊娠中に脳動静脈奇形による脳内出血を起こしました。すぐに手術を受けて、命は取り留めたものの3つの障がいが残りました。右同名半盲、てんかん、高次脳機能障がいです。高次脳機能障がいの主な症状は、記憶障害、地誌的障がい、失語など複数生きづらさは残りましたがリハビリや自分なりの対処方法を見つけながら生活しています。受傷から10年を経過しました。
私が、かけはしプロジェクトを立ち上げた理由ですが、あまり知られていない高次脳機能障がいについてたくさんの人に知ってもらいたいという思いから講演活動を行っています。他にも、福祉事業所向けの身だしなみレッスンも開催しています。
そして、私自身が若い当事者女性と出会う場がなくて、この世の中に同じ障がいをもつ若年女性や子育てママは私だけなのかなと、とても孤独を感じていました。同じ年代の子どもを子育てするママとはどうしても共有できない悩みを一人で抱え込んでいた時期がありました。同じ境遇の若年女性や子育てママが気軽に参加して情報共有したり、仕事のこと、子育てのこと、恋愛のこと、これからのことを語り合える場が必要なのではないかなと考え、オンラインで全国の仲間と繋がることができるサークルを立ち上げました。こんな居場所が欲しかった!ないなら作ろう!の想いから始めた活動です。
私が、病気を発症した当時、「かけはしプロジェクト」という第3の居場所があったら、もっともっと子育てを楽しめていたり、その後の人生の選択肢が広がっていたかもしれない。そんな居場所を提供できるように今頑張っています。
ここにくれば同じ仲間が手を広げて待ってくれています。かけはしオンラインサークルは月に一度開催しています。奇数月は第3土曜20時~、偶数月は第3土曜14時~、参加は無料です。
みんな一人じゃない。ここに繋がろう!
 *参加については「かけはしプロジェクト」ホームページhttps://kakehashi-project.com/
「お問い合わせフォーム」に連絡を!
(かけはしプロジェクト 代表 北島麻衣子)
  
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NPO法人 日本高次脳機能障害友の会
〒780-8014 高知県高知市塩屋崎町2丁目12-42 
TEL:088-803-4100  FAX:088-803-4420
事務局 岡村 忠弘
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